罰走の効果。

僕も試合で負けたら罰走。点を取られたら罰走。フォアボールを出したら罰走というやり方で育ってきました。
一昔前は当たり前で、ほとんどの選手が経験してきたことだと思います。
はたしてそのやり方がよかったのか。
僕なりの考えをまとめてみました。

 

結論からいうと、今の時代にはそぐわないということです。
それだけでなく選手の成長の妨げにもなる可能性があるということです。

練習や試合では、全力を出すことが成長につながります。
しかし、試合でどんなに頑張っても「負けたら走らなきゃいけない」「フォアボールを出したら走らなきゃいけない」とわかっている選手が試合で力を出し切ることは至難の技だと思います。
毎回そうなら試合後に備えて、無意識に走るための体力を温存するようになることは想像できます。
罰走があるから力を温存したり、試合や練習前に不必要に厳しい走り込みやアップをしたためにすでに疲れてしまい、力を出し切れなければ、正確に課題や問題点を見つけるのが難しく、技術の向上につながりにくくなります。

罰走は選手が成長するためと思ってやらせるなら、罰ではなく試合の結果がどうなろうと走らせるべきだし、ただの罰なら誰一人としてやらせるべきではありません。

メンタルを鍛えるためと言う人もいますが、鍛えられるか鍛えられないかもわからないことをするよりも、そこを専門にトレーニングする、メンタルトレーニングをした方が効率的です。
また、そこを専門に勉強している優秀なメンタルコーチも存在します。そういう専門家に頼むべきです。

 

僕の考えは、論理的思考力や探究心、創造性の先に忍耐力のような耐える力があると思っています。

「継続は力なり」は、おそらくプロ野球選手はみんな持っている考えだと思います。
しかし、論理的思考力や探究心、創造性がない選手が、「継続は力なり」を信じすぎると、積み重ね以外の発想は出てきません。
指導者も同じで、論理的思考力や探究心、創造性がない指導者は、選手にもひたすら継続するよう迫ってしまいます。
上手くいかなければ「もっとやれ」「もっと続けろ」は危険な可能性もあります。
大きく成長したり、殻を破るのは、論理的思考力や探究心、創造性を持ち、何かの思い込みをやめることが必要です。

思考を停止させて、耐えることを選択する前に、問題や課題を解決することを一番に考え、その考えが、耐えることによって解決に向かうと思えて、初めて耐えることを選択するべきだと思います。

練習は上手くなるためにやるのであって、罰を逃れるためにやるわけではありません。
それが染み付いてしまうと、選手が自分から上手くなるための練習を選択できなかったり、自分からハードな練習に取り組むことができなくなります。

そういう意味では、野球界のランニングは、改善しなければいけない部分のひとつではないかと思います。
すべてのチームがとは言いませんが、多くのチームが、ランニングは野球が上手くなるための手段でなければならないのに、選手からしてみれば、ただ走らさられるだけなので、走ることが目的になっていることがあります。
ランニングの意図も説明されず、負荷も強度も曖昧です。
最低でもランニングの意図を理解し、心拍数を測り、インターバルを個別に決めることぐらいはしなければならないと思います。
みんなで同じ距離、同じ量を走るのでは、人によって負荷が違います。
走力がある人にとっては低負荷ですが、走力がない選手にとっては高負荷になります。
僕は、中距離~長距離を走るのが得意であったためにランニングメニューはいつも楽でした。
これは、ランニングメニューで体力を奪われて、自分のやりたい練習ができなくなることが嫌で走れるように練習していたからです。
今思えばかなり無駄なことをしていましたが、そういう時代だから仕方のないことだったのかなと振り返ったりもします。
ランニングメニューがなければ、体力も時間も奪われずにもっと必要な練習に費やすことができたのではないかと思います。

 

今、社会の変化に対応した人を育むために、文部科学省が新学習指導要領を導入し自ら学ぶ力を身につけさせようとしています。
そんな中で、「失敗して罰せられたくないから頑張る」という考え方は真逆の考え方だと言えます。
野球に当てはめると、今までは、与えられた練習をしていましたが、これからは、その練習によって、何ができるようになるのか、まで考えられる選手に育てることです。
つまり、与えた練習ではなく、上手くなるために何をするべきかを、自ら考えられる選手に育てることが求められています。
スポーツ庁からは「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」が出され、自ら考えられる選手には、今まで以上の成長が期待できるのではないかと思います。
これが定着したら日本からもメジャーリーガーが、もっと出てくるのではないかと思います。

やる気を引き出す。

前回の投稿で、「やる気。」の話をしました。
その続きとして、どうやる気を引き出すのかを、さらに考えてみたいと思います。

 

前回のおさらいになりますが、自らの行動と、そこから得られる快感の結びつきでやる気がでます。

自ら決めた目標を達成することで、快感を得ることができます。

「練習しても能力が上がらない」「練習しても目標が達成できない」ということは、やる気の出ない理由のひとつです。
それが続くと「練習しても能力が上がらない」「もうできない」と思ってしまい、練習を続ける意欲がなくなって、ますます能力が上がらないという悪循環に陥ってしまいます。
成功体験を積むことができないだけでなく、「努力しても無駄」ということを学習してしまいます。
そうなると、練習をやろうとしても、ワクワクすることもなくなってしまいます。

この悪循環に陥らない方法として考えられるのは、チャレンジする目標を、自分の実力よりも、少し上に設定することです。
「少し難しそうだけど、頑張れば何とかなる」と思えるくらいのレベルです。
挑戦レベルとスキルレベルのバランスを保つことが重要になります。

悪循環を断ち切るもうひとつの方法は「成長や結果を待つことができる選手になる」ということです。

僕の見てきた一流選手は、みんな、成績が上がらなくても、結果や成長を待つことができる選手です。
「一生懸命練習したけどできなかった」
そこで、やる気を失うのではなく「次は大丈夫。次はできる」と自分を励まし、またチャレンジします。

未来を予測し、上手くいくイメージを持てるので結果を待つことができます。

的確な目標を立てて、意欲的に練習に取り組む。
上手くいかなかったり、ミスをしても、それを通じてリフレクションを繰り返しながら、次のステップに向上していく。
自らの思考で、こうしたサイクルができるようになると、やる気を保てるので、結果的に成長が期待できます。

まわりの人ができるアプローチとしては、上手くいかないことがあったとしても、成長しようと取り組んでいる姿勢を褒めるということです。
成長を目指し、努力を重ね、成長していく過程自体が快感になると、厳しい練習にも取り組めるようになっていきます。
特に子供は、褒められることがモチベーションになりやすいので、効果的だと思います。

 

やめられなくなるという状態を作るのに大切なことは、「練習すると、ホッとして、落ち着く」というようになることです。
そのための方法として、心地よく思える練習場所を作るということです。
プロ野球選手でいうと、ピッチャーならトレーニングルームであったり、野手なら室内のバッティングゲージといったところです。
そこに行くと、落ち着いて、自分自身と向き合って練習に取り組むことができます。

ジムでトレーニングを続けている人や、ゴルフの打ちっぱなし練習場に通い続けている人、決まったカフェや図書館などで勉強すると、はかどる、というのも同じだと思います。

 

なにかにハマたり、やる気をコントロールするのは脳です。
脳の活性化はやる気を生み出します。

そのためには、姿勢をよくする。

食事をしっかり食べ、栄養のバランスに気をつける。
よく噛んで食べる。

睡眠リズムを整え、適度な睡眠時間を確保する。
睡眠不足は、疲労を蓄積させ、脳活動を低下させます。やる気の低下や集中力がなくなったりします。
練習は、動きを覚えることではなく、動きを理解し、定着させることが重要です。
記憶は、睡眠中に定着すると言われていることからも、頭の中に課題を抱えながらしっかり寝る、ということが練習の効率を高めます。

 

脳を活性化させ、集中力を高めるのに、眼球を上手く動かすことも、テクニックのひとつです。
人は、集中するとき、目線をある1点に固定します。
目線は固定し、眼球をいかに動かすかが、集中するときの目の使い方です。
目線は固定しますが、眼球の固定ではなく、集中してどこか1点を見つめる場合、頭の僅かな動きをキャンセルするように、眼球を動かす必要があります。
スポーツで動いているときは、なおさらです。
カメラの手ぶれ防止機能のようなイメージです。

この目の使い方が、子供がゲームにハマっているときにしている目の使い方です。
これが、練習や勉強のときでも同じようにできなければ、なかなか夢中になって、やらずにはいられないという状況にはならないと思います。

このように、脳を上手く使い、活性化させるには、脳によい習慣を、多く身につけることが必要です。

 

指導者が選手を見るときに、比べる対象を、指導者の中の理想ではなく、それまでの選手のやり方にすることで、選手の成長を促すことができます。
野球が上手くなりたければ、頑張って練習するのではなく「野球が好きで、毎日練習せずにはいられない」という状態を作り出すことです。
学校の成績を上げたければ、頑張って勉強をするのではなく「勉強が楽しい」「勉強したい」という状態にすることです。

子供は、大人が導いてあげる必要があると思いますが、最終的には、自分の脳をコントロールして、自分の力で、この「やらずにはいられない」ということを作り出せることが重要だと思います。

やる気。

プロ野球選手とアマチュア選手の差のひとつに、やる気を生み出す能力の差があると感じます。
この能力を身につけている選手でなければ、上のレベルまで上がっていけないのが、現状だと思います。
そう考えると、投げるや打つという技術と同様に、身につける努力をする必要があるのではないでしょうか。
これは、本人が努力をするというよりも、親や指導者やまわりの大人が、どう身につけさせるかを考え、導いていくことが大切だと思います。

 

練習を、子供がゲームをやめられなくなるようなのと、同じ状態にすることが重要です。
大人で言えば、ギャンブルやたばこ、お酒、などをやめられなくなっている状態です。
それと同じように、仕事がやめられないという人も何人も見てきました。
周りから「やめた方がいいよ」「やりすぎない方がいいよ」と言われても、やめられない。
プロ野球選手も「そんなに練習をしないほうがいい」と止められている選手を多く見てきました。

「気がついたらまたやっていた」「いつの間に繰り返していた」というような、ハマっている状態に、どのようにするのかを考えてみました。

 

まず、覚えておかなければいけないことは「練習しろ」と言うことは、逆効果になるということです。
「練習しなさい」と言われれば、言われるほど、やりたくなくなるのは、人間の脳の仕組みです。
それが、厳しく言われたり、怒られたりとなれば、なおさらです。
「なんでやる気を出さない」「やらないお前が悪い」と怒るのは、恐怖により脳が委縮したり、反抗的な態度を引き起こすことになり、「やる気」を阻害してしまうことにつながります。

では、どのようにすることがよいのかと言うと、「練習すればこんないいことがある」ということを思わせるということです。
練習することにより、成長できたり、試合に勝利するといったような成功体験を感じさせるということです。

例えば、勉強をさせたいときに、親が「勉強をしなさい」と言い続けるよりも、親が「勉強してよかった」「勉強は楽しい」「たくさん勉強できるのが羨ましい」と伝えるほうが効果的です。
親が勉強している姿を見せることも重要です。
子供は、親の言うことは聞かなくても、人間の脳には、親の行動は無意識に真似してしまうという仕組みがあります。
姿勢や歩き方、しぐさが親と似てしまうのはこのためです。

仕事も「この仕事は楽しくて、意味もある」「世のため、人のためになる」と本気で思って働く方がやる気がでます。

「もっと練習をしておけばよかった」よりも「もっと練習を楽しめばよかった」と思わせるように導く方が、選手は伸びると思います。
楽しく練習できなければ、なかなかスキルも身につきません。
苦痛に耐えて練習するようでは、競技自体を長く続けるのも難しくなります。

いくら「練習をしろ」と言ったところで、選手に課題を抱えている自覚がなく、改善や向上しようという意思がなければ、どんなに選手のためを思い、言ったところで、選手には響きません。
選手が、自ら「ここを改善したい」「ここを伸ばしたい」と思わなければ練習の質は上がりません。
選手がどうなりたいのか、どんな課題を感じているのかを把握し、それに沿った練習を提供することで、選手は、やる気になります。

上手くなって褒められたり、いいプレーができたり、勝負に勝つ、という快感や、ワクワク、ドキドキした快感が、やる気につながります。

夢中で練習した。→いいプレーができた。
これを繰り返すことで練習にハマる状態を作り出せます。

練習をやらずにはいられない選手は、次の練習をやろうと決めると、こう練習したら上手くなるんじゃないかと、ワクワクしてきます。
そうなると、次の練習までの、私生活のレベルも上がります。
そして、グランドに入り練習すると、ホッとして、落ち着きます。
その状態を作り出せると、ハードな練習も、きつく思わずに、いつまでも練習できます。
練習が終わってホッとするのではなく、練習を始めると落ち着くのが、プロ野球の一流選手です。
夢中で練習した。→いいプレーができた。
を作り出せるので、それがいいスパイラルになり、練習がやめられなくなります。

 

やる気とは、自らの行動と、そこから得られる快感の結びつきによって出てきます。

練習をすすんで、繰り返し行える選手にするには「褒めて練習するのを待つ」ということが必要ではないかと思います。
大人が選手のためを思って「練習しろ」と言ったところで、選手のためにはならないということです。
まずは楽しいことだけをやらせる。
そこから少しずつ、成長する楽しみや、勝負に勝つ楽しみを教えていく。
さらに上を目指す選手には、大舞台になればなるほど、もっとワクワク、ドキドキするということを伝えていく。

これは、スポーツに限らず、勉強や他のことでも、人が成長するには大切なことであり、なるべく早い段階で、スポーツや勉強、習い事を通じて身につけたい能力だと思います。

人間のやめられなくなる仕組みを理解することで、お酒やたばこ、ギャンブル、薬物などにハマるのではなく、趣味や仕事、スポーツなどに夢中になれるように自分をコントロールできるようにすることは人生を充実させることにつながるのではないかと思います。

「上手い選手」「下手な選手」

「上手い選手」「下手な選手」とよく聞きますが、どんな選手が上手い選手で、どんな選手が下手な選手なのか、基準がないのではないでしょうか。

上手い選手が必ずしも強い選手とは限らず、上手くなったという基準も曖昧です。
そんな「上手い」「下手」について考えてみました。

 

僕の考える上手い選手とは、「最適な動作を無意識でできる選手」のことです。
つまり、「運動が自動化された選手」のことです。(優れたスポーツセンシングを持った選手)

選手が行う、上手くなるための練習やトレーニングは、プレーの動作が、歩くことや日常生活と同じように、競技の「無意識な動作」を獲得するために行います。

人の動きは、さまざまな筋肉を協調して動かして、初めて、そのやろうとしている動作が成り立ちます。
歩く動作を見てみると、足だけを動かして歩くわけではなく、頭の位置を移動して重心を変えたり、腕を振ってバランスを取ったり、全身のさまざまな筋肉の連動で歩きます。
人が行う動作は、身体全体の筋肉を協調させ、制御しながら、行っています。
このときに、いちいち「足をこう動かして、手はこう動かす」のようなことは考えずに、無意識な動作で歩いています。

それは、競技中の動きにも言えます。
例えば、投げる動作では、頭で考えながら動いているのではなく、脳が投げるという指令を出したら、無意識に、今までに覚えた身体の制御を、頭の中にある、引き出しから出して投げます。
(完全に無意識に、自動化されて投げることができる選手が、投げる動作の途中に、思考が入るのがイップスと言われる、運動障害です。かなり簡単に説明しましたが…)

最適な制御を行うためには、その動作を繰り返し行い、脳がその動作を「学習」する必要があります。
その学習するための手段として、トレーニングや練習が必要です。

このトレーニングや練習で行った、脳の学習によって得られるものが「無意識の動作」であり「運動の自動化」です。
僕は、これを勝手に「スポーツセンシング」と言っています。(僕が作った言葉です)

トレーニングや練習では、よりレベルの高い、運動の自動化(スポーツセンシング)を手に入れるために、脳と神経と筋肉の学習を行っています。

繰り返し動作を行うことにより、最適の動作を脳が覚えていきます。
より最適化されている動作を、身につけている選手ほど、上手い選手と言えるのではないでしょうか。

しかし、上手い、下手といったようなスポーツセンシングやスキルを数値化することがなかなかできません。
それは、今の技術では、運動中の脳の活動を、正確に測定できないので、スポーツセンシングのような、脳と筋肉の連携を数値化することができません。

そのため、筋力やパワーといったような測定でき、数値化できることに、トレーニングや練習の比重が偏りがちになっています。
野球やサッカーのような球技や、スキルが重視されるスポーツの一流選手は、優れたスポーツセンシングをベースに、戦術、思考、筋力、またそれを伴う、持久力、パワーなどを身につけて、パフォーマンスにつなげています。
どんなに優れた、筋力やパワー、持久力を身につけても、優れたスポーツセンシングがなければ、パフォーマンスにつなげることは、なかなかできません。

 

優れたスポーツセンシングを持った選手になることが、上のレベルに行くためには、とても重要だと思っています。
そして、歩き方や自転車の乗り方を忘れることがないように、1度身につけた、自動化された動作を忘れることはありません。
だからといって、練習やトレーニングが必要なくなるわけではありません。
スキルレベルと身体機能レベルの最適な組み合わせがパフォーマンスを向上させます。
疲労や体調、年齢、環境などにより、常に変化している身体機能に対応した、動作の最適化を微調整するために、練習やトレーニングはいつまでも必要不可欠であると言えます。

上手い選手になるために「どうやって、動作を身体に覚えさせるか」ということを考えなくてはなりません。

努力。

「努力は必ず報われる」と言いますが、実際はどうなのでしょうか?
「報われる」という人もいれば、「報われない」と言う人もいると思います。
この答えは分かれるのではないでしょうか。

努力とは、「目標を実現するために、心や身体を使ってつとめること」を言います。

努力について僕なりに考えてみました。

 

僕は、努力は必要ですが、頑張って努力することは、目標を達成するための最善ではないと思っています。
それはプロ野球で活躍する選手と話すと、努力をしたという感覚ではないからです。

僕がロッテでプレーしていた時に2人の首位打者を身近に見ることができました。
1人が先日2000本安打を達成した福浦さん。
もう1人は、僕と同期入団でもある角中選手。

2人に共通していることは、練習をよくするということです。
しかし、その練習には、努力しているという感覚はまったくないように感じます。
ただの習慣です。
その証拠に、角中選手は「練習は嫌いだからやらない」と言います。
角中選手は時間さえあれば、バッティング練習をしているイメージです。
試合開始直前まで、室内練習場でバッティング練習をし、試合が終わった後も、室内練習場でバッティング練習をしています。
もう角中選手の中ではバッティング練習は、練習ではないくらいの感覚に聞こえます。
習慣になっているので、努力をしているとは思っていないのではないでしょうか。

福浦さんも同じで、トレーニングルームでトレーニングをし、バットを振っている姿を、毎日見てきました。
ナイターの試合が終わった後でも、いつも行われていました。
これは完全に習慣になっていました。

このような経験から、僕は、努力は夢中には敵わない。
そして、夢中は習慣には敵わない。と感じました。

僕自身も、野球に夢中になり、どうしたら上手くなるのかを考えるのが習慣になっていました。
たまたま、このような競技に出会えたというのは、ラッキーだったと思います。

そうでない場合は、努力することを、辛いと思わないで、楽しいと思えることを探す努力をしたり、練習やトレーニングが、習慣にできるような努力をする、ということも必要なのかもしれません。

初めは、努力すれば夢は叶うでいいと思いますが、上のレベルになればなるほど、頑張って努力することでは、勝負にならないということを感じなければ、人生が辛いものになってしまいます。

そうならないためには、本人が「努力を評価してもらおう」と思って努力するのではなく「努力は評価されない」と思って努力することが大切だと思います。
この2つの考え方には、大きな違いがあると思います。
努力を評価してもらおうと思えば、目的が上手くなることや成長することから、評価を上げることに変わってしまいます。
努力は評価されないと思えば、結果を示さなければと考えるので、自分に厳しくなり、言い訳や人のせいにすることがなくなります。

努力をすることが目的では、努力が報われないということが起こると思います。

すぐに結果が出なくても、当初の目標に近づくということがとても大切で、それを根気強く積み重ねていくことで成長します。

やろうと決めたことを徹底してやる。
その中で「何を練習するか」だけでなく「何ができるようになるか」
こなすことではなく「どうなりたいか」をはっきりさせることが大切です。

それが進めば「頑張ろう」というのもなくなっていき、自然に練習に取り組めます。

よく、辛く厳しい練習に耐えて、自信をつけるということを聞きますが、自信を持つことはとても重要なことですが、努力で自信をつけることは簡単ではありません。
自信は考え方や性格によって変わりますが、厳しい練習だけで自信をつけられる選手は、ごく少数だと思います。

ただ厳しい練習に耐えるのではなく、努力の方向性を考えなくては自信を持つことは、なかなかできません。
問題意識を持ち続け、技術を向上させ、経験を積む。
相手の弱点やパターン、癖などを見つけ、優位に立つ。
自分がやるべきことに集中する。
先を予測し準備を重ねていく。
このようなことが揃い、「あとは自分を信じてやろう」となって、自信になります。

 

努力をし続けているように見える一流選手は頑張っているわけでもなく、楽しんでいるわけではなく、いつものことをしているだけというような感覚です。

努力の方向を、習慣を作るために努力する、ということに変えることも重要です。

努力は報われるのかはわかりませんが、努力することにより、成長や喜び、満足感、などを得ることはできます。
充実した日々を送れるようにするためにも、努力は必要だと思います。

甲子園を目標にする危険。

甲子園が目標の野球少年を見かけますが、僕は、これは危険だと思っています。
もちろん、僕も、甲子園を目標に高校野球をしていましたし、多くの野球人の目標になっているので、すべてが危険と思っているわけではありません。

甲子園が最大の目標で、その先を考えられていない選手が危険だと思っています。
そして、そのような選手が非常に多いと感じています。

そこで僕なりの考えを書いてみました。

 

甲子園を最大の目標にし、そこにゴールを設定するのは、とても危険だと思っています。
それは、高校野球が終われば目標を失い、燃え尽き症候群になってしまう恐れがあるからです。

現に、高校野球での、燃え尽き症候群は問題に上がってきます。

燃え尽き症候群から、引きこもりやうつ症状になることもあります。
10代で目標がなくなるのは大きな問題であると思います。

自分が生きていく目的を持ち、なぜ野球をやっているのか、なぜ甲子園を目指すのか、などを考えた上で、甲子園を目標にするのは問題ありません。
むしろ素晴らしいことだと思います。
これは甲子園が、目的に向かっていくうちの、ひとつの通過点でしかないからです。

しかし、甲子園が最終目標で、その後のことを考えていないのは避けなくてはならないことだと思います。

これは受験で、入ることが目標で、入学したら、そこから何をしたいかがわからない、というのと同じです。
本来は、その後に続く何かがあるはずです。

燃え尽き症候群になる原因が、本人の目的や目標設定にあるだけでなく、指導者やまわりの大人にも、原因がある場合もあります。
選手に対して、必要以上の厳しい練習内容や指導、長時間の練習をさせる、などがあります。
また、指導者や保護者などから、能力以上の期待をかけられたり、勝つことへのプレッシャーを過剰にかけられることなども考えられます。
難しいのは、個人差がかなりあるということです。
同じ練習や同じ接し方でも、プラスになる選手もいれば、マイナスになる選手もいるということです。

指導者は、選手が練習中や試合中に大きなストレスを受け続けないように、選手それぞれの適切な練習内容や目標を設定し、その目標に向かって、リフレクションを繰り返しできているのかを、選手と一緒に考えることが重要です。
そのためには、指導者と選手が信頼関係を築き、コミュニケーションをしっかり取ることが必要です。

リフレクションを繰り返せる選手とは、
今の行動を客観的に見て、振り返ることができる。
次の試合でのプレーをイメージし、今日の練習がどうだったのかを振り返り、明日に繋げていく。
最後の夏の大会での自分をイメージし、今日を振り返り、次に繋げる。
さらには、野球人生やこれからの人生を考えて、今日の練習や行動がどうだったのかを振り返り、行動を再構築していく。
毎回、このようなことをできる選手のことです。

これは競技力を上げるために必要な能力であると同時に、生きていく上でも必要な能力だと思います。

今までの行動を振り返り、どうやったらもっとよくなるのかを考えて、チャレンジすることは、明日へのモチベーションを生み出し、充実した人生にするための方法でもあります。
長く競技を続けている人の共通点でもあるように感じます。
一流選手や長くプレーしている選手の、やり抜く力や継続する力は、このような思考から生まれています。
決して根性や忍耐力で長く競技や練習を続けている訳ではありません。

指導者はリフレクションを繰り返せる選手に育てることを忘れてはいけないと思います。

 

野球の競技人口が減っている今、早い段階でのリタイアは、野球の発展にもマイナスになります。
野球から燃え尽き症候群をなくす努力を、みんなでしなくてはならないと思います。
高校生で野球を辞めるということは、野球を始めて、長い選手でも10年くらいです。
それで、もうプレーしないということになっては、とても寂しいと感じます。

せっかく大きなバイタリティーを持って、甲子園を目標に頑張れたなら、そのバイタリティーを次の目標にも向けるべきです。
甲子園を最終目標にするのではなく、人生の通過点という考えを持つことです。
例え、高校で野球を辞める選手でも、高校野球は通過点です。
野球で培った能力で、人生を豊かにしていってもらいたいです。

もうひとつ外の世界に目を向ける。

僕が尊敬している方たちは、僕の知らないことをたくさん教えてくれます。
他の人に比べ、多くの知識を持っているように感じ、話を聞いていると「なるほど」と思うことが多々あります。

そういう人たちに近づくには、どのようにしたら良いのかを考えてみました。

 

そのような人たちを観察していると、今いる環境よりも大きな世界に目を向けているように感じます。
常に、今いる世界よりも、もうひとつ外の世界に目を向け、変化を恐れずにどんどんチャレンジするという共通点があります。

個人から他人。自チームから他のチーム。自分のリーグから他のリーグ。日本から世界。といったように今よりも大きな世界に目を向けるということです。

もちろん、その逆の、周りも見ずに、がむしゃらにやっていたらとんでもないところまでいけたということもあります。
両方をバランスよくできることが理想ではありますが、今回は、外に目を向ける重要性を考えたいと思います。

 

スポーツ選手の多くは、成長を目指して、常に競争しています。
レギュラーになるのも、試合に勝つのも競争に勝たなければできません。

どうすれば今よりも優れたことができるのかを、多くの人が考えていますが、物事を見るときの視点を、どこに置いているのかによって差が出てきます。
今よりも、もうすこし大きな視点で物事を見て、行動に移していくことが大切だと思います。

その組織の中にしか、目を向けていないと、気がつけば、周りの組織から差をつけられてしまうことがあります。
外に目を向けないでいたら、後れを取っていることすら、気がつかないといったようなことが起こってしまいます。

県内だけを見ていたら、他県から差をつけられていた、なんてこともあるかもしれません。

日本の国内だけで一生懸命、競い合っていたら、気がつけば、世界から取り残されていた、なんてことになってしまうかもしれません。

「大きな視点で物事を見ている人」と「小さな視点で物事を見ている人」が会話をしたら「小さな視点で物事を見ている人」は「大きな視点で物事を見ている人」が何を言っているのかわからない、ということが起こってしまいます。
大きな視点でものごとをみるということは「その周り」や「その先の未来」を考えられるということです。
つまり、小さな視点で物事を見ている人には、見えていない世界を見ているということになります。
これでは、何を言っているのかわからないという状態になってもおかしくありません。

大きな視点でものごとをみるということは、「その周り」や「その先の未来」を考えられるということだけでなく、「今までと違う考え方をする」ことでもあります。
「自分の意見は正しい」と、周りの意見を聞かないことは、大きな視点で物事をみるということをできません。

物事を俯瞰して、さまざまな角度や、違った立場から見るということが重要です。
知らないことを知ろうとする前向きな姿勢を持ち、自分の価値観を明確にし、他の人の価値観を尊重した中で、自分の考えを決めていくことが大切です。

実際に自分の目で見るのがいいですが、それができなくても、テレビやインターネットで違う世界のやり方を観察してみたり、上のレベルの人の話を聞いてみたりすることで、今まで知らなかった、外の世界に目を向けることができるようになります。

また、新しいことに挑戦してみることでも、今までと違ったところに、目を向けることができます。

 

自分自身やチームが、より成長するために、今いる世界の外に目を向けることが重要だと思います。
まわりの良いところを真似して、自分やチームに合ったやり方に変え、経験に変えていくというやり方が、新しい気付きを生み、成長につながると思います。

よく噛んで食べることはいいことだらけ。

同じ食べ物を、同じ量食べても、同じ身体にはなりません。
もちろん、人それぞれ、遺伝子が違うし、体型が違うし、代謝が違うというのもあります。
しかし、それ以外にも、食べ方や脳の使い方に違いがあるということもあります。

今回は、その食べ方の、よく噛んで食べることのメリットを考えてみました。

 

よく噛んで食べることで得られることはいろいろあります。

・肥満の予防
ゆっくりよく噛んで食べることで、満腹感が得られるため、食べ過ぎを防ぐことができます。
満腹中枢が刺激されて、満腹感を感じるのは、食事開始から約20分後と言われています。
よく噛んでゆっくり食べることで、満腹のサインが脳に伝わりやすく、食べ過ぎを防ぐことができ、体重管理に役立ちます。

・味覚の発達
食べ物の形や硬さを感じることができるため、食べ物の味がよくわかるようになります。
僕は、五感を鍛えることを重要視しています。
人は、五感を使って周囲や相手を観察するからです。
味覚が発達することで、感性を磨くことにつながると思っています。
よく噛んで食べることで、体力づくりや感性の発達に役立ちます。

・筋肉の発達
口のまわりの筋肉を使うことで顎が発達し、言葉の発音がきれいになったり、話す力の向上につながります。
また、口の周りには表情筋がたくさんあるので、噛む回数が増えると、それらの筋肉を活発に動かすことにつながり、顔の筋肉が引き締められ、小顔につながります。

・脳の発達
頭部に流れる血液の量が増えるため、脳の血液の量が増えて、脳の働きが促され、脳が活性化され、集中力の向上にも役立ちます。

・虫歯の予防
よく噛むことで、唾液の分泌が多くなります。
唾液には食べ物のカスや細菌を洗い流す働きがあり、虫歯の予防になります。

・胃腸の活性化
食べ物を、よく噛み砕いてから飲み込むことで、消化の働きを助け、胃腸の負担を軽くして、効率的にエネルギーに替えることができるようになります。

・スポーツのパフォーマンスの向上
これは、僕の経験から、噛むことが、スポーツ選手に重要な役割を果たしているのではないかと推察しています。
僕は、マウスガード(マウスピース)を着けてプレーしていましたが、噛み合わせによりパフォーマンスに違いが出ることを実感していました。
噛み合わせが悪いと、筋肉が過剰に緊張して、肩こりや偏頭痛になることもあります。

食事中にバランスよく噛むことで、過緊張を防ぎ、脳にもいい影響を与えのではないかと思います。
姿勢を正し、左右の歯でバランスよく噛むことで、筋出力の増加、柔軟性の向上、疲労の軽減、反応速度の向上、脳の活性化、集中力の向上にもつながるのではないかと思っています。

スポーツをプレーしているときに、歯を食いしばってプレーしていると思っている人は多いと思いますが、実際は、一流のスポーツ選手ほど上下の歯が接触している時間が短いです。
プレー中だけでなく、普段の生活中も上下の歯が接触している時間が短いです。
その上下の歯が接触している時間の多くが食事中です。
マウスガードを着けていた実体験から、人は、リラックスした状態で、バランスよく噛むことで、顎の位置を整えることができ、食事により顎を動かし、身体のバランスを整える効果もあるのではないかと思っています。

 

よく噛んで食べることは、健康につながるさまざまな効果があるだけでなく、パフォーマンスの向上にもつながります。

よく噛んで食べられるようにする工夫として、食材を大きめにカットして調理することで、噛む回数を自然と増やすことができます。
また、固い、噛みごたえのある食材を使うことも、よく噛んで食べることにつながります。

食事中に水を飲まないことも、効果的なやり方です。
水で流しこむことができないために、よく噛んで、唾液の分泌を増やすことになります。

ひとりで食事をするのではなく、会話を楽しみながら友人や家族と食事をとることも、ひとりで食事をするよりかは、ゆっくりよく噛んで食べることができます。

 

初めは、意識しないとできないかもしれませんが、テーブルで、姿勢良く座り、よく噛んで食べる習慣を身につけることが大切です。

いい習慣を作ることで、意識しなくても、よく噛んで食べられるようになります。
どうせ食べるなら、少しでも身体にいい影響を与えられる食べ方をするべきだと思います。
一流選手は、小さなことの積み重ねが大きな差になることを知っています。

今日から、意識して、よく噛んでゆっくり食べるということもしてみてはどうでしょうか。

姿勢を正すことはいいことだらけ。

親や学校の先生などに「姿勢をよくしなさい」なんて言われたことがある人は、多くいると思います。
実は、これは非常に重要なことです。
一流のスポーツ選手を思い浮かべると、背筋が伸びていて、姿勢がいい選手ばかりです。
スポーツ選手に限らず、何の分野でも、優秀と言われるような人は皆、姿勢がとてもよいです。

そのような人は、なぜ姿勢がよいのか?
姿勢をよくすることで、何が得られるのか?
そんなことを考えてみました。

 

先ず、よい姿勢とはどんな姿勢でしょうか?

思い浮かべるのは背筋が伸びている姿勢ではないでしょうか。
僕が考える理想的な姿勢とは、くるぶし、膝関節、股関節、肩、耳が地面と垂直に並ぶようにし、自然で負担のない姿勢です。
この姿勢をすると、頸椎は前弯、胸椎は後弯、腰椎は前弯をした、緩やかなS字カーブを描いている姿勢になると思います。
そうすることにより、足も背中も首もリラックスすることができます。

運動時での理想の姿勢は、筋肉や関節にかかる負荷が少なく、無理なく、効率よく力を発揮し、身体を動かせる姿勢です。
また、最適な重心を得ている姿勢でもあります。

逆に、悪い姿勢とは、肩が前に出て背中が丸まったような猫背の姿勢。
ストレートネックやスマホネックと言われる、頸椎の前弯が減少し、首が前傾している姿勢。
腰が反りすぎている姿勢。などのことを言います。
筋肉や関節にかかる負荷が多く、最適な重心を得ていない姿勢です。
僧帽筋や首の筋肉が緊張し、肩こりの原因にもなります。
肩こりは、顔や脳への血流が悪くなるので、頭痛や、眼精疲労、視力の低下、集中力の低下などの原因にもなります。
反り腰は腰痛の原因になることもあります。

座った時に足を組んで座るのも、体を左右に歪ませる原因になるのでいい姿勢とは言えないと思います。
理想的な座った姿勢は、骨盤を立てて、背筋を伸ばした姿勢です。

 

理想的な姿勢をすることによるメリットはたくさんあります。

まず挙げられるのが、呼吸がしやすくなるので呼吸機能が向上します。
それに伴い、循環機能が向上し、脳や身体への血流が増え、様々な効果につながります。
姿勢がよくなり、呼吸がしやすくなると、横隔膜が動きやすくなります。
横隔膜が動くようになると、より酸素を取り入れやすくなり、呼吸機能、循環機能がより向上するというプラスの流れを作ります。
横隔膜が動き、広がることは、内臓にも、よい影響を与えます。

また、自然で、筋肉や関節にかかる負荷が少なくなることで、全身がゆるみ、身体がリラックスします。
それにより、筋疲労が軽減します。
特に、肩こりが改善されると、脳への血流がよくなり、脳に酸素が運ばれ、脳が活性化され、集中力を高めることにもつながります。

無駄な緊張がなくなることは、内臓や血流、神経にもいい影響を与えます。

運動時に理想的な姿勢をすることは、股関節や肩甲骨の柔軟性が向上し、パワーの発揮、瞬発力の発揮、持久力の向上、等、高いパフォーマンスを発揮するためには、欠かすことができません。

それだけでなく、視野が広くなり、ものの見方が変わることによりプレーの質も変わってきます。

 

ここまで、理想の姿勢をするメリットを挙げてきましたが、悪い姿勢を正すことにもメリットがあります。

意識して姿勢を正すことの大きなメリットは集中力の強化になるということです。

集中力とは、能力なので、鍛えなければなかなか向上しません。
集中力のない人に、どんなに「集中しろ」と言っても、できないのは、能力が低いからです。
そのような人が、集中力を身につけたければ、集中力を強化するトレーニングをする必要があります。
そのトレーニングに適しているのが、「意識して姿勢を正す」ということです。
なぜかというと、集中力とは、無意識に行う行動を、意識的にやらないようにすることで強化されるからです。
姿勢というのは、ほとんどが無意識にしているものです。
今、この投稿を読んでいる姿勢も、大半の人が意識をしていないのではないでしょうか。
思い出すたびに、無意識にとっている姿勢を、意識して正していけば、だんだん姿勢もよくなっていき、集中力も強化されていくということになります。

今、姿勢を正した人は、ほんの少し集中力が強化されたということです。

 

勉強する時も、読書をする時も、テレビを見る時も、食事をする時も、スマートフォンを操作する時も、スポーツをする時も、
いつでも姿勢を正すということで得られるメリットは、たくさんあります。

思い出すたびに、姿勢を正してみてください。

ブルペンエース。

今まで、さまざまなカテゴリーの野球を見てきましたが、どこのチームにも、ブルペンエースと言われる選手がいます。
ブルペンエースとは、ブルペンでは、いいのに、試合ではいいピッチングができない選手のことを言います。

「ブルペンのボールを試合で投げられたら抑えられるのに」なんて言葉を耳にします。

どこのチームにも存在する「ブルペンエース」について、僕なりの考えを投稿したいと思います。

 

結論から言ってしまうと

ブルペンエース=技術不足

というのが、僕の考え方です。
実際は、ブルペンエースをほとんど見たことがありません。
ブルペンエースと言われる選手も、ブルペンと試合で同じようなピッチングをしています。

 

ブルペンと試合では当然、いろいろな違いがあります。

ブルペンには、審判がいないのでストライク、ボールが曖昧ですが、試合では審判がいて、ストライク、ボールが明確に決まるので、ストライクを投げなくてはなりません。

試合では、バッターがいるので、打たれないようにという意識が働きます。
野手や相手がいるので、自分のペースで投げることが難しくもなります。
ランナーが出れば、サインプレーやランナーを気にして投げることも求められます。

練習のマウンドは、毎回、同じところで練習することが多いので、気になることは、少ないと思いますが、試合では、マウンドの違いやプレートの違いに数球で対応しなくてはなりません。

試合では、投げる球種やコースが1球1球、変わることも考えられます。

そもそも、雰囲気が全く違います。

このように、ブルペンと試合では、違いがあるので、試合の方が、多くのスキルが必要になります。

しかし、今まで、多くのピッチャーを観察してきましたが、ブルペンも試合も同じようなピッチングをする選手が多いと感じています。
ブルペンエースと言われる選手の多くも、ブルペンも試合も同じようなピッチングをしています。

ブルペンエースと言われる選手のブルペンでの投球練習を観てみると、共通点が多くあります。

簡単に言ってしまえば、「いいボールを投げる選手権」をブルペンでしています。
いいボールを求めているので、ブルペンでストライクを投げる練習をしていません。

特に多いのが、力のあるボールはボール球でストライクゾーンには、シュート回転や抜け気味のボールしかこないという選手です。
ストライクゾーンにくるボールが、力のあるボールではなく、その選手の1番、力のあるボールは、ボールゾーンのボールであるということです。
ブルペンでは、カウントがないので、永遠にボール球を投げ続けられますが、試合では、そういうわけにはいきません。
そのような選手は、ストライクゾーンに、力のあるボールは投げられないので、試合では、ストライクを取ることに苦労するか、打たれてしまうかで「ブルペンのボールが投げられれば…」と言われます。
しかし、これは、ブルペン通りのボールを投げていると言えます。

ブルペンエースと言われる選手だけでなく、多くの選手がブルペンでのピッチングが、そのまま、試合で出ています。
ブルペンを観ていたら、そのピッチャーの悪い時のパターンや打たれるボールが想像できます。
試合で、調子の悪い時や疲れてきた時に、その選手の普段のブルペンでしている、投げミスのボールが、多くなるということです。
ブルペンの投げミスが、抜けるボールの選手は、試合でも抜けるボールが出ます。
ブルペンでシュート回転で甘く入ってくる選手は、試合で打たれるのはそのボールが多いということです。

このように、フォームなどのメカニック的な技術や身体操作技術が不足していることが原因になっていることが多いと感じます。

もうひとつ、多いのが、思考技術の不足が原因のケースです。
集中力を発揮する方向を変えるのに時間がかかる選手は、ブルペンでは、問題になりませんが、試合では問題になります。
例えば、ランナー1塁では1塁ランナーに集中し、投球の際には、集中をランナーから打者方向に変えなければなりません。
この切り替えの速さがないとランナーが出た時にパフォーマンスが落ちてしまうことが考えられます。

イメージを作る技術が低いと、ボールのラインをイメージできないので再現性が低く、確率よく理想とするボールを投げることができません。
人によって作るイメージに違いがあり、他人が作っているイメージを知ることはなかなかできませんが、イメージを作ることは、とても重要です。

これは思考技術の一部ですが、思考技術の高さにより、発揮されるパフォーマンスに大きな差が出ます。

 

ブルペンエースと言われる選手は、メカニック的な技術や思考技術といった、投球に必要な技術が不足しているということです。

ピッチャーは「いいボールを投げる選手権」をしているわけではなく、バッターをどうしたら打ち取ることができるのかを考えることが重要です。

不足している技術を探し、そこにアプローチできれば、試合で力を発揮できる選手に近づくのではないでしょうか。

ブルペンでの肩の作り方。

僕がプロ入りしたときの監督がボビー・バレンタイン監督でした。
ボビーの下で野球ができたことが、僕の財産になっています。
その中で、ブルペンでの準備の仕方は、それまで経験したことがない、効率的なやり方でした。

日本のやり方とボビーのやり方、両方を経験して、個人的な意見ですが、日本のやり方は、変えるべきだと思っています。

日本のやり方と比較して紹介したいと思います。

 

まず、日本のやり方を紹介します。
日本のプロ野球でも、主流になっているやり方で、アマチュア野球では、ほとんどのチームが行っているやり方だと思います。

試合に投げる投げないは関係なく、必ず1回投球練習をして肩を作ります。
試合の日は、ブルペンで投げない日はないということです。

早めに1回、肩を作り、休んで出番を待つので最低でも2回、肩を作ってから試合に登板します。
3回、4回、肩を作って試合に出場することもよくあることです。
1度作った肩を、冷やさないようにするので、キャッチボールや投球練習を何度も行います。

それに対して、ボビー・バレンタイン監督が導入していたやり方です。
実は、ボビーのやり方というより、日本以外のやり方といったほうがいいのかもしれません。
僕の知る限り、日本以外の国は、このやり方をしています。(世界中の野球を知っているわけではありませんが…)

そのやり方は、まず、ベンチの指示がない限りキャッチボールすらできません。

ベンチからどうなったら投げるというのが明確に伝えられ、準備をしてくれとなります。
例えば「3番バッターで」や「何番で左バッターがきたら」のようにどうなったら登板するというのが、明確に伝えられます。

キャッチボールを含めて、バッター3人くらいの間で、肩を作らなくてはなりません。
肩ができたらブルペンからベンチに、準備ができたことを伝えます。
もし、間に合わない時には、ブルペンからベンチに連絡し、タイムを使うなどして時間を作ってくれます。

抑えを任されていて、最終回に投げる時は、8回の相手の攻撃が終わった瞬間にブルペンの電話がなり、そこから準備をしていました。
味方の攻撃が3者凡退だと10球も投げられないことになります。

3回肩を作って登板がなければ、もうその試合には出ません。(2008年のシーズン中にブルペンで30球以上投げたことは1度だけ)

ブルペンでの肩を作る回数が増えたり、投球数が増えると、監督に謝られることもありました。
そんな経験は、それまでなかったので、正直驚きました。
そのくらい、ピッチャーの身体を大切にして、どうすることが、ベストに近い形で試合に入れるか考え、協力してくれます。

これが、日本のブルペンのやり方と海外のブルペンのやり方です。

日本のアマチュア野球で、上手くブルペンが機能しているチームは、少ないと思います。
ほぼ全てのチームに、呼び方は様々ですが、ピッチャーの怪我に備えて「保険」や「並行」や「アクシデント要因」と言われる、初回から誰かがブルペンで投げるシステムがあります。

これは、選手のためにならないシステムであると言えます。
なぜなら、ピッチャーライナーが当たるなど、ピッチャーが怪我をして投げられなくなるようなアクシデントがあった時は、アマチュア野球でも、時間を作ってもらえます。
そもそも、そのアクシデントが数年に1回くらいしかありません。

日本には、球数を管理するという発想が、ほとんどないので、少ない球数で肩を作るという発想もありません。
また、監督やコーチが選手に協力的ではないので、どうやったら選手の身体を守れ、ベストパフォーマンスを出せるのかと、考えていないことが原因にあるのではないかと思います。

早く肩を作るということは、慣れたらすぐできるようになります。
実際に、プロ入り後の、3月のオープン戦の1ヶ月でできるようになりました。

肩を早く作るには、投球フォームも関係すると思います。
ここでは、細かい説明はしませんが、立甲やゼロポジションと言われる、肩甲骨と上腕骨が直線に入り、一致した状態を保って投げられる身体操作ができれば、早く肩を作れるだけでなく、好不調の波が少なくできます。
これができないと、肩を作るのや、感覚をつかむのにも時間がかかります。
肩や肘にも負担がかかります。
そういうところから、肩を作るのに時間がかかる選手は、肘を故障する選手が多い傾向にあるように感じます。

 

話をまとめると、海外のブルペンのやり方が日本のブルペンのやり方よりも良いと思うところは、

・投球数が抑えられる。

・1回で肩を作って試合に出場するので、良いパフォーマンスが出しやすい。

・短時間で肩を作ろうとすることで心拍数を上げられる。

・ピッチャーの肩や肘を守れる。

・ゼロポジションを保ったフォームを身につけやすい。

などがあげられます。

このやり方をすると、今までよりも、監督やコーチが大変になります。

試合前から、様々な試合展開をシュミレーションし、試合展開を予測することをしなくてはなりません。

選手の能力をより把握する必要もあります。

監督の決断力も試されるようになります。

 

監督、コーチの苦労によって、選手の身体が守られ、より良いパフォーマンスが出せる確率はあがるので、選手のためにも、試してもらいたいと思います。

自分の目は自分で守る。

前回の投稿で日本人の視力の低下が問題になっているという話をしました。
人によって、物事の見え方が違うのではないか、という話もしました。

今回は、目の機能低下の予防や改善をどのようにしたらよいのか、という話をしようと思います。

 

人間が、何かを見ようとしたときに、使うのが眼球です。

前回も言いましたが、僕は、目の使い方と脳の使い方をトレーニングによって向上させようと思っています。
脳の使い方も重要視する理由は、物を見ているのは目ではなく、脳だからです。
人間は、映像情報をとらえる道具として眼球を使いながら、脳でその映像情報を調整したり、補充することによって、正確な映像を認識しています。

その眼球は、どのように動くのかというと、眼球内眼筋と眼球外眼筋と呼ばれる筋肉組織で動いています。
筋肉なので、トレーニングで機能を上げることができます。

眼球の中にある眼球内眼筋の筋肉組織は、「虹彩」と「毛様体」です。

虹彩は、眼球内に入る光の量を調整することで色を認識する筋肉組織です。

毛様体は、水晶体の厚みを調整することで遠近調整する筋肉組織です。
近くのものを見るときは、水晶体が厚くなり、遠くのものを見るときには、逆に薄くなります。

眼球のまわりにある眼球外眼筋は、6つあり、眼球を複合的に動かす役割を持っています。

毛様体と眼球外眼筋は随意筋(自分の意のままに収縮、運動する筋肉)なので、意識して鍛えることができます。

近眼や老眼は、目のトレーニングが有効であるということが証明されています。
近くの物だけを長時間見つめることによって、目の遠近調整筋の作用が損なわれ、毛様体筋が異常緊張状態になってしまいます。
それが続くと、近視になってしまいます。
近視の人は、水晶体が厚くなったまま、薄くならない状態にあるので、毛様体筋の働きを高めて、自律神経を整えるようにトレーニングしていけば、改善することは可能です。
近視や遠視の予防や改善には、水晶体や毛様体筋、外眼筋といったものから調整することが有効です。

眼球の筋肉を機能しやすい状態に保つことが大切なので、眼筋も、他の筋肉と同じ考え方が必要です。
適度なトレーニングと栄養と睡眠が必要ということです。

使いすぎないように、目を使う時間と目を休ませてあげる時間を自分自身でコントロールしなくてはなりません。

食事は食欲を満たすためではなく、身体機能や脳を活性化させるためにするという考え方が大切です。
好き嫌いの多い、偏食傾向にある人は、近視になるリスクが高いと言えます。
目のためには、糖分を摂り過ぎないで、日頃からビタミンB1を摂取するようにする。
カルシウムとカルシウムの吸収を助けるビタミンDを摂る。(ビタミンDを作るために太陽の光を浴びる)
ビタミンB12は、視力を増進させ、目の疲労を軽減する働きがあるので摂取するようにする。
このように、食に対する意識を上げることも重要です。

目の筋肉に無駄な負担をかけたくないので、明るさの度合いを、適切にすることも大切です。

目の水平が崩れるような姿勢は、脳が補てんする必要があるので、目や脳の疲労につながり、近視の原因になりやすくなります。
なにをするときも、姿勢に気をつけ、物を見るということも、習慣にしなければなりません。

目の良い人は、例えば、人を見たときに、無意識のうちに、小刻みに視点を動かし、その人の全体像を目と脳によって認識する作業をします。
視力が低いと、この作業をせずに全体をぼやっと見ます。そうすると本来使われるはずの目の筋肉が使われないのでどんどん機能が落ちていきます。

遠くのものをしばらく見続けたら、今度は、視線を近くのものに移す。近くのものをしばらく見続けたら、今度は、視線を遠くのものに移す。
このような目の使い方が習慣になっている人は、毛様体筋を上手く使え、水晶体をコントロールできるので視力の低下が起こりにくいと思います。

野球のピッチャーが、肩や肘に負担がかかるような、投げ方のクセを持っていると、故障のリスクが上がるように、目の使い方も、目の筋肉に負担がかかるような、使い方のクセがあれば、目にとってリスクになります。
そのようなクセは、しっかり改善していくことが必要になります。

目と脳の関係は密接で、脳は目の衰えを補てんしてくれる一方で、目の異常が限界を超えた時には脳に対する悪影響も出ます。
目のトレーニングによる効果は、目だけでなく、脳の活性化にも通じると思っています。

 

2回にわたって、目について書きましたが、簡単にどのようにすればいいのかというと

「目と脳に良い習慣を身につけよう」

ということです。

ゲームやスマートフォン、テレビなどを、どんどん切り捨てるのではなく、適切な遊び方とバランスの取れた時間配分をしっかり理解することが大切だと思います。

適切な明るさで、適切な姿勢で、目を使うように心がける。
質のいい睡眠と十分な睡眠時間を持つ。
バランスの摂れた食生活をする。

そして、ぜひ、スポーツを習慣の中に入れてほしいと思います。
スポーツは、眼球の使い方を身につけるのに適していると思います。
ストレスに対しても、目に対しても、脳に対しても、とてもよい影響を与えられるからです。

 

目に対する知識と、よい習慣を作ることにより「自分の目は自分で守る」という意識を持ってほしいと思います。

今回の投稿が、日本人の問題となっている、視力の低下の予防や改善につながればと思います。

日本人の視力の低下。

今、日本人は、目の悪い人がとても増えています。
現在、裸眼視力が1.0未満の子供は小学生で約3割、中学生で約5割、高校生で約7割いると言われ、さらに、年々増加傾向にあると言われています。
近視の子供が増えていることは、日本の大きな問題だと思っています。
目はスポーツを行う上でも、とても重要ですが、生きていく上でも、とても重要です。

そんな目の話をしていこうと思います。

 

あまり知られていないかもしれませんが、遺伝による近視は5%未満。約95%は後天的な要因からなると言われています。

同じ時間、スマホやゲームをやったり、勉強や読書をしても視力が低下する人もいれば、まったく低下しない人もいます。
視力が低下しやすい目の使い方と視力が低下しにくい目の使い方があるということです。
物事に対する取り組み方や目の使い方を変えることで目を守ることも可能です。

子供は、視力が落ちることで、学校で黒板の字もよく見えなくなり、字を書く時にもノートに顔を近づけるため姿勢が悪くなりやすくなります。
姿勢が悪くなると、脳に酸素がいきにくくなり、集中力の低下につながります。
集中力の低下は成績の低下にもつながります。
スポーツでは、姿勢が悪くなると、重心のコントロールも難しくなり、力を出しにくくなったり、軸を作りにくくなったりもします。

肉体的な弊害だけでなく、ストレスなど、精神的な弊害も出てきます。
特に、子供にとってメガネは、精神的な負担につながり、消極的で内向的な傾向になりやすくなります。
ひどい場合には、いじめにつながることもあります。

視力が落ちる原因として、思いつくことは、テレビやゲームやスマホやパソコンではないかと思います。
テレビやスマホの画面を長時間見つめると、知らずに視野が狭くなり、眼の中の筋肉が異常緊張を引き起こし近視を発生させる原因にもなります。
テレビゲームやスマホやパソコンは、画面に近づいて、目の激しい視点移動を繰り返し行うので、眼精疲労や、首から肩にかけての凝りの原因になりやすく、普通にテレビを見る以上に、視力低下を招きやすくなります。
また、全神経と視線を画面に1点集中するために、視野が狭くなってしまう場合がよくあります。
視野が狭くなることはスポーツで上を目指す人にとっては、マイナスです。

だからといって、これが悪い、あれが悪いと、どんどん切り捨てるのは、今の時代を考えたら難しく、ストレスになることもあると思います。

しかし、同じような生活をしていても、視力が低下しない人もいます。
視力低下の要因で問題になるのは、「やっていること」よりも「目の使い方」です。
必要なことは、目の使い方や生活習慣と、バランスの取れた時間配分をしっかり理解することだと思います。

誤った方法で目を酷使すると、視野を狭くしてしまい、さらには、視力低下を引き起こしてしまう原因にもなります。

僕は、目に対する知識を得て、目の使い方を変えることができれば、目の能力を向上させることは可能だと思っています。

僕のトレーニングを受けたことがある人は、わかると思いますが、僕は、目と脳の使い方をとても重要だと考えています。
しかし、そのようなトレーニングが見つからなかったので、僕が考えた、独自のトレーニングを取り入れています。

人間は、外の世界の情報を五感を使って得ていますが、その約80%を視覚から得ていると言われています。
これだけでも、目がとても大切であることがわかると思います。

脳の使い方も、重要視する理由は、物を見ているのは目ではなく、脳だからです。
人間は、映像情報をとらえる道具として眼球を使いながら、脳でその映像情報を調整したり、補充することによって、正確な映像を認識しています。

眼球の使い方と周辺視野を上手く使うことで集中力を高めたり、上手くリラックスできるようにもなります。

今の技術では、周辺視野を含めた、他人の、ものの見え方を知ることはできませんが、僕は、ここに大きな違いがあると思っています。
一流のバッターは、150キロのボールが、どのくらいのスピードに見えているのでしょうか。
ボールが止まって見えたと言う人もいました。

サッカーの一流選手は、視野が広いと言われていますが、どのようにまわりを見ているのでしょうか。

まわりの動きが、今までよりも、ゆっくりに見えるようにトレーニングしたり、目に入ってこなかった場所を見られるように、目の使い方と脳の使い方を変えることで、パフォーマンス向上につなげられるかもしれません。

スポーツ選手だけでなく、視力がいい人は、どのように眼球を動かして、どのようにものを見ているのでしょうか。
そこをレベルアップできたら、今までと違った世界が見られるかもしれません。

近視のような、視力の低下の予防や改善につながるかもしれません。

他の人との違いが、なかなかわかりませんが、人によって、全然違ったものの見方をしています。

もし、そんなことを考えたことがなかった人は、考えるきっかけにしてほしいと思います。

野球選手の肘の故障。

今の野球界の現状は、小学生からメジャーリーガーまで、肩や肘を故障する選手がたくさんいます。
僕自身も、右肘を2回、右肩を1回手術をしています。
その間に、自分の身体やトレーニングを勉強して、初めて自分の投げ方、身体の使い方が関節に負担をかけていて、自分の身体が壊れるべくして壊れたことを知りました。
投げ方と身体の使い方を変えたら肩、肘の張りが減り、痛くなることがなくなりました。

今まで経験したことや理解したことを少しでも伝えることができたらと思います。

 

僕は、怪我と故障は違うと考えています。
打球が当たったり、接触した時に負傷するのが怪我です。
繰り返し投げ続けることにより肩や肘に痛みが出るのを故障だと思っています。
故障に対して、予防の意識を持つことで、減らすことができると考えています。

故障を減らすには、関節に負担が少ない身体の使い方、フォームを身に付けることです。
(しかし、このフォームは、抑えることと必ずしも同じとは限りません。)

僕が、手術をした時に、どれも手術が決まるのは、CT画像やMRI画像だけではなく、投げられるか投げられないかで決まりました。
試合に出ている時は、リハビリでと言われ、試合で投げられないと言うと手術へとなります。
これは、トミー・ジョン手術と言われる肘の内側側副靱帯の再建手術も同じです。

実際に病院に診察に行ったときの話で、僕と、一緒に診察に行った別の選手の内側側副靱帯の損傷は、MRIの画像上は、同じくらいと言われました。
しかし、僕は、手術をせずにリハビリで、一緒に行った別の選手は手術になりました。
それは、今、どのくらい投げることができているのかなどの問診やストレステストなどで決まります。

僕の内側側副靱帯は、手術が適用と言われてもおかしくない状態だったとも言えると思います。
でも、僕は、トミー・ジョン手術を受けたことがありません。
画像上の損傷が同じくらいでも、投げられなくなったら手術をしようとなります。

つまり、手術をするかしないかは、レントゲンやMRIの画像ではなく、投げ方で決まるということが言えます。

その投げ方をもう少し細かく説明すると、投球動作中の関節にかかる負担を減らせるか、ということです。
関節に負担がかかるタイミングでそれを守る筋肉を使えるかどうかでもあります。

筋肉とは、収縮しやすい角度と収縮しにくい角度があり、筋肉が働きやすいフォームで投げることが、肩や肘の故障を防ぐためには重要になります。

投球動作中は腕が高速で振られているために、その一瞬に、意識して筋肉に収縮を入れることは、難易度が高すぎます。
だから、練習やトレーニングで、この瞬間に、ここの筋肉を働かせるということを、身体に覚えこませ、無意識に、確実に、できるようにしなければなりません。

これを教育する練習やトレーニングをしっかりしないと、同じ人が、何度も故障することになってしまいます。
その反対に、これを身体が覚えた選手は、なかなか故障をしません。

内側側副靱帯自体の強度を考えたら、1球で断裂してもおかしくない強度しかないために、しっかり筋肉に守ってもらわなければいけません。

痛くなりノースローにして様子を見ているだけでは、投げ始めれば、また、痛くなるだけです。
休むだけではなく、フォームを見直して、肘や肩に負担がかからない、身体操作を身につけなければ、その場しのぎにしかなりません。
同じ人が同じ箇所を故障し続けている現状を考えると、故障した後の治療ばかりに目がいき、予防の意識が足りないと感じます。

1度でも痛くなったことがある選手は、フォームを見直す必要があると思います。

とはいえ、ピッチャーとは、バッターを抑えることが、目的であり、点を与えないことが仕事です。
怪我をしないことは、目的ではなく、怪我をしないことが目的なら、軽く投げ続ければ良いということになります。

手術も、ただ投げられるようにするのではなく、以前のパフォーマンスを取り戻すため、または、もっとパフォーマンスを向上させるために選択します。

そこが難しいところだとは、思っています。

しかし、僕の個人的な意見では、

パフォーマンス向上 < 怪我の予防

であってほしいと思っています。

まずは、故障しない身体操作、フォームを理解した上で、バッターを抑えることを考えてほしいと思います。

これは、僕の経験から、打たれて試合で負けることよりも、リハビリで試合に出られないことの方が断然、面白くないし、苦しいからです。

なかなかプレーしているときは、抑えることしか、考えられないとは思いますが、身体を守る予防の意識を忘れないでほしいと思います。

ウエイトトレーニングはした方がいい?

よく「ウエイトトレーニングをした方がいいですか」と聞かれます。
僕の答えは「やる人と目的による」です。

どのような人ならしてもいいのかというと、脳を上手く使える、センスがある人はしても良いと思います。

逆に、センスがない人で、目的が、最大筋力の向上、筋肥大、筋持久力の向上のどれかの人には、オススメはしません。
ウエイトトレーニングをすることにより、球が遅くなったり、動きが悪くなったり、怪我をしたりと、野球のパフォーマンスに繋がらなかった選手を相当数見てきました。
野球の経験者なら、そういう選手を、必ずと言っていいほど、見たことがあるのではないでしょうか。

メジャーリーガーやプロ野球選手は多くの選手がウエイトトレーニングをやっています。
それを真似して、ウエイトトレーニングを行ったところで、そういう選手と同じような効果はなかなか得られないのが現状だと思います。
脳の使い方が優れている、センスがある人がトレーニングを続ければ、野球のパフォーマンス向上に繋がります。
メジャーリーガーはセンスのある人の集まりで、センスがなければメジャーまで上がってこられないので、ウエイトトレーニングをすることでパフォーマンスが上がる選手ばかりではないかと思います。

僕は、脳の使い方が上手くない、センスのない人のウエイトトレーニングの目的が、最大筋力の向上、筋肥大、筋持久力の向上のどれかなら、野球のパフォーマンス向上に、たいして効果が見込めないと思っています。(現状を見ればそうなっている。)
なぜかというと、これらを目的にウエイトトレーニングを行う場合、大切なことが、負荷、回数、セット数、インターバルをそれぞれ適切に行うことです。

諸説ありますが…

最大筋力の向上なら、2〜5回しかあげられない重さ(1RMの90%以上の重さ)で3セット以上、セット間のインターバル3〜5分
筋肥大なら、8〜12回しかあげられない重さ(1RMの80%以上の重さ)で3セット以上、セット間のインターバル40〜90秒
筋持久力の向上なら、15〜30回しかあげられない重さ(1RMの30%以上の重さ)で、3セット以上、セット間のインターバル15〜30秒

どれも限界までやることが大切です。

しかし、センスがない人は、脳を上手く使えないので、適切な負荷をかけることが難しいです。
人間の脳は本能的に身体を守るためにブレーキをかけます。脳を上手く使える人でも、持っている筋肉の80%〜90%しか力を出せないと言われています。
脳を上手く使えない人は60%くらいしか、力を出せないと言われています。

脳が無意識にブレーキをかけて、60%の力しか出せなければ、適切な負荷になりません。
適切な負荷をかけて、適切な回数をトレーニングしなければ、たいした効果が期待できません。

例えば、
「ベンチプレス、100キロをあげられる筋肉を持った、脳を上手く使えるセンスのある人が筋肥大をしたいとします。その人の脳が無意識に10%分、ブレーキをかけ1RMは90キロ(90キロが1回上がる)だとします。
筋肥大したいので90キロの80%の重さは72キロなので、72キロの重りでトレーニングします。」

「ベンチプレス、100キロをあげられる筋肉を持った、脳を上手く使えないセンスのない人が筋肥大をしたいとします。その人の脳が無意識に40%分、ブレーキをかけ1RMは60キロだとします。
筋肥大なので60キロの80%の重さは48キロなので48キロでトレーニングします。」

脳を上手く使えるか使えないかで、こんなに差が出ます。
48キロは、脳を上手く使える人にとっては、筋持久力に目的を置いた時の負荷です。
これでは、効果がなかなか期待できないのがわかると思います。
これが僕の、センスのない人にウエイトトレーニングを勧めない理由です。

負荷のかけ方や回数に、諸説あるというのが、その証拠なのではないでしょうか。
脳を使う能力がわからないと適切な負荷がわからないので、いろいろな説が出てきてしまいます。

このような理由からも「センスを鍛える」ということが重要であるという、僕の考えに繋がります。

このトレーニングは、良い、悪いのような議論を良く目にしますが、僕が重要だと思うのは、トレーニングよりも、トレーニングをやる人のセンスだと思っています。
センスがある人は、大袈裟な言い方をすれば、歩いてるだけで効果的なトレーニングにします。
逆に、センスのない人は、どんなに良いと言われてるトレーニングをしても、センスがある人と同じような効果は得られません。
同じトレーニングをしても、やる人によって、成果に大きな差が出てしまいます。

僕が、大切だと思うことは、少しでも、今よりも、センスを磨くことです。
センスが磨かれれば、トレーニングの効率も上がり、新しく可能性が生まれてくると思っています。

 

以前に書いた投稿です。
センスとは
センスを身につけることの大切さ

そのセンスを向上させる手助けができたらと思います。