トライアウト。

来週、13日にプロ野球12球団合同トライアウトが行われます。
今年の会場は、ソフトバンクホークスの2軍球場のタマホームスタジアム筑後で行われるそうです。

そのトライアウトについて書こうと思います。

 

このプロ野球12球団合同トライアウトは、日本のプロ野球12球団を自由契約になった選手に参加資格があります。
基本的には、今年限りで、自由契約になる選手が参加しますが、過去にNPBに所属していた選手も参加資格があるので、今年、独立リーグや海外でプレーしていた選手なども集まり、合同でシート打撃形式のテストをします。

現役続行を希望する選手が集まる貴重な場なので、12球団だけでなく、独立リーグ、海外球団のスカウト、社会人野球の関係者も見に来ています。

毎年数十人が参加しますが、契約につながるのは数人だけです。

 

このトライアウトのとらえ方は、人によってさまざまです。
多くの選手が、他球団との契約を目指し参加しますが、プロ野球だけでなく独立リーグ、社会人野球など、プレーする場所を求めアピールします。

今後が何も決まってないからとりあえず受けるという選手もいます。

引退試合の意味合いで家族に最後の雄姿を見せるという選手もいます。
引退試合をしてもらえない選手にとって、トライアウトはユニフォームを着る最後の場面でもあります。

野球人生に区切りをつけるため、気持ちを整理するために受ける選手もいます。

実は、僕は2014年と2016年の2回、トライアウトに参加しています。
2014年のトライアウトは、前年に肩と膝を手術し、やっと野球ができる身体になったので、ずっとリハビリに携わってくださった人たちに、全力で投げられるようになった姿を見せたいという思いと、自分自身、もう一度野球をやりたいという思いから参加しました。
ありがたいことに日立製作所から話をいただいていたので、戦力として評価してくれる球団がなければ、日立製作所で野球をやろうと決めていました。

2016年は、日立製作所での目標は達成したので、日立製作所を退職し、新しい目標の第一歩としてトライアウトに参加しました。

どちらもプロ野球球団から話をもらうことはできませんでしたが、いい経験になりました。

トライアウトは、カウント1ボール1ストライクの状態ではじまるシート打撃形式のテストです。
ピッチャーは打者4人。
それを順番に打つので野手は参加人数によって変わりますが、4~7打席くらいです。
一瞬で終わってしまう感じでした。(2014年のトライアウトでは、3球で3人終わってしまいました。4人目は4球。)

 

プロ野球の球団には、編成と言われるスタッフがいて、シーズン中から他のチームの選手をチェックしているので、選手の能力を把握しています。
わざわざトライアウトで実力を測定する必要はありません。
だからトライアウトの結果だけで選手を獲ることはなく、契約につながる選手も、すでに決まっていたか、最終確認をした、といった感じだと思います。

トライアウト後に秋季キャンプに参加して契約するということもありますが、これはトライアウトの結果をふまえての練習参加ではなく、あらかじめ決まってることが多いと思います。

トライアウトだけを見て、どんなにホームランやヒットを打っていようと、どんなに三振を奪っていようと、本当の実力を判断することはできません。
野球ほど選手の実力を評価するのが難しいスポーツはないと思っています。
僕自身も、プロ野球選手の実力をプロ野球に入る前まで、正確に評価できていませんでした。
世の中には、プロ野球の2軍選手より社会人野球の選手の方が上だと思っている人も多くいるように感じます。
個人的な意見だと、選手のレベルは、大半は社会人野球選手よりプロ野球の3軍の方が上だと思います。
これには、いろいろな意見があると思いますが、そのくらい、見る人により評価が分かれ、選手の実力を見極めるのが難しいスポーツだと言えます。

 

トライアウトの結果で所属先が決まることは、ほとんどないというのは、選手もわかっていますが、それでもわずかな可能性に賭けるという選手が多くいます。

これは単純にプロ野球が、それだけ魅力のあるところだということでもあると思います。

もうひとつが、夢中になって勝負したという意識状態を無意識に求めていることだと思います。
マウンドに上がったときや打席に立ったときの、ワクワク感や興奮が忘れられません。
中毒みたいなものなので、なにがなんでも、またやりたいという状態です。
人は、自分を忘れて夢中になるという経験に、お金を払ったり、時間を費やしたりします。
それが、毎日経験できるのが、プロ野球というところです。

経験した人にしかわからない、その経験こそがプロ野球選手の財産なのかもしれません。
自分自身が「まだやりたい」「まだできる」と思っている限りは、周りに何と言われようと挑戦してほしいと思います。