プロ野球春季キャンプ。

2月1日から、プロ野球の春季キャンプが一斉にスタートします。
3週間から4週間くらい沖縄、宮崎などを中心に暖かい気候の場所で練習します。
今年の千葉ロッテマリーンズのキャンプは、かなり短いそうですが、僕がプレーしていたころから3週間くらいと比較的短い印象があります。
僕の記憶に残っているのは、何と言っても2007年の新人の時のキャンプ。
プロ野球という、まったくの別世界があったことを知った時でもありました。
そのときの思い出話をしたいと思います。

 

当時の、千葉ロッテマリーンズのキャンプは、オーストラリアのジーロングというところで行われていました。
南半球なので真夏で日差しも強く、40度を越える日もあり、日焼け止めを塗りまくって過ごしました。

2月1日のキャンプインに向けて、1月30日に空港に集合して移動しました。
新人だった僕は、1月中は新人合同自主トレをしていましたが、多くの選手やスタッフの方と会うのは、この時が初めてです。
「はじめまして、荻野です。よろしくお願いいたします。」
とあいさつ回りから始まりました。
これまで、テレビの中の人で、呼び捨てで呼んでいた選手が、「○○さん」に変わった時でもありました。
実際に、会ってみると、想像していたよりも、とにかく体がでかい、厚みがあると感じました。

オーストラリアまでの飛行機はチャーター機で、3席をひとりで使えるということに、衝撃を受けました。
ホテルの食事も専用の食事会場が用意されていて、日本と変わらない食事が用意されていました。
野球をやる前から驚かされることばかりでした。

 

すべてが右も左もわからない状態だったので、常に気を張っていた記憶があります。

アマチュア野球では、食事の時間が決まっていたり、予定などの連絡は全員が集まってするのに対して、プロ野球では、予定が書かれた紙が貼られているだけでした。
毎日貼りだされるスケジュールに沿って進んでいきます。

練習のメニューもすべて書かれていて、そこに書かれた時間通りに練習も進んでいきます。
グランドもメイン球場の他に、何ヵ所かあるので、どこに行くのかを把握していなければいけません。
投内連係やサインプレーの練習も、同じ練習を何ヵ所かに別れて行うので、自分がどこのグランドに行くのかを確認する必要があります。
ピッチャーだけでも4グループくらいに別れていて、ピッチング、フィールディング、バント、コンディショニング、のように20分刻みで進んでいきます。
ピッチングも時間で決まっているので、急いで移動してもキャッチボールを入れて15分ちょっとくらいしかできません。

のんびりしている時間も待ち時間もなく、アマチュア野球の1日かけてやることを数時間で終わらせるという感じでした。

わからないことだらけだったので、同じグループの人を探して、とにかく、その人についていくということをしていました。

ランチの時間もそろって食べることもなく、自分のタイミングで勝手に摂るといったような感じでした。
練習中でも隙を見つけて、つまみ食いするということが当たり前に許されていました。

練習は午前中に終わり、そこからは各自でトレーニングルームでトレーニングをする人もいれば、ホテルに戻る人もいます。
練習後にゴルフに行く人もいました。

キャンプは、大学時代も社会人時代も経験していたのですが、まったく流れが違うことに驚きました。

ホテルに戻っても、最初の数日は、いつ集合がかかるのか、いつミーティングがあるのかと構えていましたが、貼りだされたスケジュール通りに進むので、そこに書かれていないことは起こりません。
このことに気がつくまでに数日かかってしまい、その間はホテルの部屋で何かあるのではないかと構えていました。

 

いろいろと驚くことがありましたが、その中でも1番驚き、別世界だと思ったことが、野球の実力です。
こんなにもアマチュアと実力差があるのかと思いました。
キャンプの数日で、今までやってきたことを変えられなければ勝負にならないということを実感しました。
そのくらい化け物みたいな選手ばかりでした。

運の良かったことに、当時のロッテのピッチャー陣は、日本を代表する選手が多くいました。
その方たちは皆、自分の経験や技術を惜しみなく教えてくれました。
このタイミングでロッテに入れたというのは、本当に運が良かったと思います。
そのお陰で、初めてのことが多かったこのキャンプの期間に、急成長することができました。

プロ野球という知らなかった世界を初めて体験したことと、自分の急成長も重なり、とても思い出に残るキャンプになりました。

翌年からは、キャンプ地が沖縄の石垣島になったのでオーストラリアのキャンプはとても良い経験になりました。