SMCA指導者向けセミナー。

先日、スポーツメディカルコンプライアンス協会(SMCA)として、指導者向けセミナーを開催させていただきました。

スポーツメディカルコンプライアンス協会は、指導者と協力し、子供たちが輝けるスポーツ環境を整えることを目的として発足した協会です。
スポーツ現場の現状では、時代が変わってもスポーツの指導環境が変わらずに時代にそぐわないことが起こっています。
それを踏まえ、指導者、ご両親など大人に学ぶ場を提供し、現在に合った知識を持って子供と接することで、子供たちの未来を守り、子供たちにとって、適切なスポーツ環境を作りたいと考えています。
eラーニングにより学んでいただくことを考えていますが、それに先立って、セミナー等でも発信していこうと思っています。

その年齢でやらせるべきではないこと、また、指導者として子どもに言うべきではないことなど、マイナスを排除することを目的にしています。
「どうすれば上手くなるのか」ではなく「これは適さない」「成長を阻害してしまう」を示していきたいということです。

 

今回のセミナーは、整形外科のドクターから集めた、野球をしている子供たちが現状どのような怪我を抱えているのかの資料を中心に話をさせていただきました。

指導者が、子供のためと思って指導する内容が原因で、子どもが肘や肩を痛め、将来の可能性を狭めている現状があります。

暴言や罵声による、精神的なストレスによって子供の成長を阻害してしまうこともあります。
コーチからの度重なる罵倒に心が折られ、好きだったスポーツをやめたくなる子供もいます。

メディカル的な知識を少し持つだけでも、今よりか、子供の可能性を広げることになります。
テクノロジーの進化によって、様々な科学的な根拠が出ている現状をもっと知ってもらいたいと思っています。

ただでさえ少子化が進みスポーツの競技人口が減っている今、さらに大人が子どもをスポーツから遠ざけてしまうことは避けなければなりません。
スポーツは本来、好きで楽しむものであり、人としての成長を促すのに適しているものです。
人の可能性を広げてくれるものであるという本質に向き合い、そうした環境を整えていくことが大人が子供たちにしてあげなければならないことでもあると思います。

 

よく見る例として、自分の子供が周りの選手よりも優れていると感じると、親の方が子供よりも熱くなってしまうことがあります。
次第に周りが見えなくなるぐらい、親が熱中し、チームの練習だけにとどまらず、家庭でも練習を促し、子供の練習量が増えていきます。
いつの間にか、子供は親の期待に応えなくてはと思い、楽しくて始めたスポーツを楽しめなくなります。
それが続くと、子供は心身ともにすり減って競技が嫌になってしまうといったような、大人の過度の期待が子供を苦しめるケースもあります。
才能がある選手はサポートが足りなくて潰れるというより介入されすぎることで、嫌になり、潰れるほうが圧倒的に多くあるように感じます。
プロ野球でも、才能ある選手をよりすごい選手にさせたく、いろいろ教えることで、逆に、潰れてしまうということがあります。

指導者は、高負荷の練習や長時間の練習で、選手が疲れているところを見て満足してしまう。それにより、子供のモチベーションではなく、これだけやらせたという自己満足により、指導者のモチベーションが保たれているだけのように感じる場面を見ます。
選手の上手くなりたい、試合をして活躍したいというモチベーションに全くつながっていかないことがよくあります。

 

どの競技も基本的には、その競技を経験した人が指導者になっています。
「自分がやってきた」という経験は、指導の上で説得力を持たせるひとつの理由にはなりますが「自分がやってきた」という経験は、本当に適切だったかを振り返り考えることはほとんどないように感じます。
だから自分がやってきた練習しか知らないということが起こってしまいます。
新しいことや違った角度から学ぶことで「練習したのに上手くならない」「怪我につながってしまった」などということを減らし、子供それぞれに適した指導を選択し成長につなげていくことが必要です。
選手の成長を促すためには、指導者が従来の「当たり前」をもう一度、見直す必要があるのではないでしょうか。

人それぞれ正解が違うということを頭に入れ、知識を増やしていくことが指導者が最低限していかなければいけないことだと思います。

今後も、協会として、指導者に寄り添って、子供たちの可能性をつぶさない子供が輝けるスポーツ環境を作り、スポーツ人口を増やしていけるよう発信していきたいと思います。