ピッチ・スマート

「ピッチ・スマート」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

「ピッチ・スマート」とはアメリカメジャーリーグが出している育成期の投手のためのガイドラインのことです。
日本ではあまり馴染みがないと思いますが、このガイドラインはアメリカだけでなく中南米、欧州、など多くの育成年代の野球に導入されています。

アメリカでの子供たちの投げすぎによる故障を危惧し、若い選手の腕の故障を減らすために何年もの間、データを集め研究を重ね、考えられました。

故障を完全になくすことはできませんが、一定の成果が出ていることは証明されています。

日本の子供たちは世界的に見ても肩、肘の故障が多いと言われています。
この「ピッチ・スマート」というガイドラインは参考にするべきではないかと思います。

 

「ピッチ・スマート」というガイドラインはメジャーリーグの公式サイトで閲覧することができます。
8歳以下、9~12歳、13~14歳、15~18歳、19~22歳と細かく分かれています。

例えば、日本の高校生にあたる15~18歳で書かれていることを紹介したいと思います。

・ストレートとチェンジアップを完璧に習得した後に変化球を投げ始めることが出来る
・12ヶ月の間に合計100回イニングを超えて投げてはいけない
・毎年最低でも4ヶ月は投げるのをやめ、そのうちの少なくとも2〜3ヶ月は継続して休まなければいけない
・ピッチングの前に適切なウォームアップをする
・投球数の制限と必要な登板間隔を設定してそれに従う
・同時に複数のチームにてプレーすることを避ける
・交代した後のピッチャーはキャッチャーを兼任出来ない
・プレイヤーは同じ日に複数の試合に参加してはいけない
・リーグ、トーナメント、ショーケースでは必ずガイドラインに従う
・年間に野球以外のスポーツをすることを推奨する
・選手の疲労の兆候を把握する
・一度交代し守備についたピッチャーが再び登板するのは一度までとする
・連日の試合において投球数にかかわらず、連投は2日までとし3日以上の連投は出来ない

このようにかなり細かくガイドラインとして書かれています。

それ以外にも、投球数のガイドラインとしても細かく示されています。

(https://www.mlb.com/pitch-smartより)

1日の上限だけでなく、投球数によっての休息期間まで細かく決められています。
例えば、高校生が81球投げたら、4日間の休息が必要です。
31球投げただけで、次の日は投げることができません。
日本人の感覚では、ありえないくらい厳しいと思うのではないでしょうか?
おそらく、このガイドラインレベルで子供たちを育成しているチームはほとんどないのではないかと思います。

しかし、海外ではこのような投球制限を設けて、それに従うのは当たり前になってきています。
アジアでも、台湾や韓国は投球制限を導入して子供たちの故障を防ごうとしています。
子供たちの身体を大切にするという部分では、日本の野球は遅れていると言わざるを得ない状況だと思います。
最優先されるべきは、選手の安全であり、健康であるべきだと思います。
プレーヤーだけでなく、指導者、保護者、観客、メディアを含め、もっと子供たちの身体を大切にするということが必要ではないかと思います。

 

目先の勝利やその時の感情に任せて、将来の可能性を狭めることがないようにと願うばかりです。