選手宣誓。

スポーツ大会の開会式では、選手宣誓を行います。
この選手宣誓とは何を宣誓するのか?
最近、選手宣誓の本来の意義が忘れられてしまっているように感じる選手宣誓を聞くことがあります。
しっかりした選手宣誓をすることが、スポーツを正しい方向に持っていくことにつながるのではないかと思います。
少し説明していきたいと思います。

 

「我々選手一同は、スポーツマンシップに則り、正々堂々プレーすることを誓います。」

定番の選手宣誓ですが、これが選手宣誓です。

「我々選手一同は」という部分は、選手宣誓する人は、選手を代表して宣誓しているので、必ず言う必要があります。
そして、選手の総意を言わなければいけません。

「スポーツマンシップに則り」という部分は、「感情の抑制」「相手に対する思いやり」「フェアプレー」というスポーツパーソンシップを守るということです。
自制を保ち、自らの感情をコントロールし、味方、相手、審判を尊重し、その競技、ルールを尊重し、フェアーにプレーするということです。

「正々堂々プレーする」という部分は、公正で偽りなく、卑怯なことなどをせずに堂々とプレーすることを言っています。

これらのことを、自分自身、相手、審判、観客などに宣言するということです。
「我々選手一同は、スポーツマンシップに則り、正々堂々プレーすることを誓います。」
と誓うことにより、勝つためにどんなことでもやっていいわけではなく、スポーツパーソンシップに則ってプレーすることを再認識します。
たとえルールでは禁止されてなくても、やってはいけないことはあるということを選手全員に周知させ、確実にそれに則ってプレーさせるためのものです。

「スポーツパーソンシップに則って、正々堂々とプレーする」と宣言することにより、卑怯なことはしにくくなります。
周りの人も宣言している様子を見ることで、「きっと卑怯なことはしないだろう」と安心します。
対戦相手も、それを聞いて安心して、試合に集中して、正々堂々と戦えるようになります。

この選手宣誓が曖昧では、その大会での各選手の行いや、各チームの戦い方に違いが出てくるのではないかと思います。

また、大会は普段の練習の成果を披露する場と考えるならば、普段の練習から、スポーツパーソンシップに則り、正々堂々プレーするということを磨いていなければなりません。
大会でしっかりした選手宣誓をすることで、普段の行いを正す効果も期待できるのではないかと思います。

 

選手宣誓とは、宣誓する人の個人の決意表明ではないということです。
「感動を与える」「勇気を与える」というのではなく、選手の代表として、自分たちがどのような行いをするのかを宣言しなければなりません。

そこで、オリンピックで行われる宣誓がとても参考になります。
スポーツの世界基準がわかると思います。

オリンピックの宣誓では、選手・審判・コーチのそれぞれの代表が出てきて、それぞれが宣誓した後、選手代表が宣誓文を読み上げます。
その内容は、決まっています。

「私たちは、すべての名において、オリンピック憲章に則り、公平なルールを尊重し、スポーツマンシップとフェアプレーの精神を増進させることで、スポーツの栄光と、チームの名誉のため、決してドーピングをしないよう、オリンピック競技大会に参加することを誓います。」

というものです。

全選手の総意でなければならないという点でも、余計なことを言うよりもこのような形が適切なのではないかと思います。

 

今、日本のスポーツに1番欠けていることはスポーツパーソンシップだと思います。
それが選手宣誓に出ているのではないかと思います。
スポーツパーソンシップに則りという一文を使わない、選手宣誓にとても残念に思います。
僕は、スポーツの本質はスポーツパーソンシップにあると思うのでスポーツパーソンシップがもっと広まることを願っていますし、それに少しでも貢献していきたいと思っています。

スポーツパーソンシップの理解がなければ、解決できない問題はたくさんあります。
野球界で話題になっている投球制限もそのひとつです。
少なくともスポーツパーソンシップに則り、正々堂々プレーすれば、待球作戦などの発想は起こらないのではないかと思います。

選手宣誓の意味を教えることは、指導者が選手に教えなければならないことのひとつです。

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