選手を育てる指導者。

選手を育てるということは簡単ではありません。
選手によってやり方を変えていくことが重要になりますが、多くの引き出しを持っていることが多くの選手を育てていくことに繋がります。
選択肢のひとつとして参考になればと思います。

 

今回紹介するやり方は、指導者が一歩下がって、選手の成長を促すというやり方です。
今までの多くの指導者が、自分が選手よりも上に立っているという認識のもとで、自分が持つ地位や権力を使って選手を指導しています。
そうではなく、指導者がひとつ下がった視点から選手を目標に近づける手助けをするというやり方です。
指導者が選手を後ろから支えるイメージです。
そうすることで、指導者と選手の間に信頼関係が生まれ、結果的に選手を導いていきます。
指導者は「先ず選手に尽くした後に、導く」ということです。

先ず指導者が考えることは、選手に対するリスペクトであり、思いやりを持ち、選手に尽くすということです。
指導者は選手の成功と成長のために尽くすということなので、指導者にカリスマ性はいりません。

選手の成長を支援し続けるということなので、選手が成長し続けるにはどうしたら良いのかを考えます。
決して自分のエゴや自分の地位を守るために選手を使うということはありません。
スポーツでは、相手がいることなので、勝利や個人の成績を自分自身でコントロールすることはできません。
それなので当然、指導者がコントロールすることもできません。
できるのは、成長できる環境を整え、成長を促すことだけです。
選手の成功と成長のために尽くすということは、選手が結果を出せない時でも、諦めずに我慢強く支援し続け、導いていかなければなりません。
そのやり方も、自分の知識や経験で選手を動かそうとするのではなく、選手を尊重する姿勢や選手の意見を聞き、そこから勉強し、共に成長していくという姿勢を見せることで選手からの信頼を得て、選手の行動変容に繋げていきます。
選手の意見を聞くというのは、相手が「どうなりたいのか」なった後に「何がしたいのか」を聞き出す努力をし、どうすれば役に立てるのかを考えます。
選手の立場に立って選手の気持ちを理解するよう努めます。
何かを強制してやらせるのではなくコミュニケーションを通じて、選手に納得してもらい、選手が主体的に行動できるようにします。

 

選手の話を聞くということは簡単なことではありませんが、選手自身が尊重されている、親身になって話を聞いてもらえると思えば、より信頼感を持ってもらえます。
大切にしてくれていると感じ、信頼感が上がれば、コミュニケーションの質が高くなり、より指導のレベルも上がっていきます。

選手が指導者に威圧感や恐怖感を感じれば、言ったことに表面的には従いますが、本音で従っているのかは分かりません。
それが進めば、選手は言い訳を考えたり、自分の意志で行動できなくなってしまったり、考える力が奪われてしまいます。
そうなってしまっては、誰のために指導しているのかがわからなくなってしまいます。

 

指導者が選手を後ろから支えるような、ひとつ下がった視点から選手を目標に近づける手助けをするというやり方のメリットは、選手は指導者を信頼し、自発的に考えて、行動していきます。
指導者側から選手を尊重し、選手それぞれがチームで最も価値のある存在だと伝え続け、選手のために尽くしていくことで、信頼を得て、結果的には選手を導いていくことに繋がります。

このようなやり方は、人の価値を優先するため、選手それぞれに寄り添い、成長のために共に努力をします。
選手個々の能力を伸ばすことに適しているので、より多くの選手を成長させることができます。

その中でもこのやり方で僕が感じる1番のメリットは、チームワークが高まることです。
成長するという目標は全選手に当てはまるので、全員を同じ方向に向けることができます。
僕の経験上「優勝する」などの目標では、ベンチ入りできない選手や怪我をしている選手を同じ方向に向けるのは難しいことです。
どうしても選手の中でも温度差が生まれてしまいます。

 

今回紹介したやり方は、個人の成長が促され、チームワークが高まるので、結果的に勝利にも近づくのではないかと思います。
これを実行するには、指導者の我慢強さや器の大きさが必要になりますが、選手のためになるやり方ではないかと思います。

選手を成長させる方法のひとつとして参考になればと思います。

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