スポーツ、身体活動、体育、武道。

スポーツ、身体活動、体育、武道を混合して語られることが多くありますが、実際は、これらはまったく異なる行為です。
今回は、そのスポーツ、身体活動、体育、武道の説明をしていきたいと思います。
目的を考えたら違いが分かると思いますが、スポーツ、身体活動、体育、武道のどれが1番良いのかということは言えません。
すべて、重要な役割を持っていて、それを行う人の価値判断によります。

 

スポーツ(SPORT)
スポーツは、もともと日常生活の労働から離れることを意味していたことからも、自ら楽しむもので、強制されて行うのではなく自らが判断して行うものです。
スポーツとは、難しいものではなく、「遊び」と「真剣さ」のバランスによって成り立つ、「ルールのある遊び」とも言えます。
人間が楽しみを求め、より善く生きるための自発的に行なう身体活動であり、ルールの中で、自由な能力の発揮と挑戦を試み、スポーツパーソンシップに則って行います。

 

身体活動(Physical Activities)
人が安静時よりも多くエネルギーを使う行為を身体活動と言います。
身体活動=運動+生活活動にまとめられます。
運動とは、身体活動のうち、体力の維持・向上を目的として計画的・意図的に実施するものです。
例えば、散歩をしたり、ジョギングをしたり、ジムやフィットネスクラブで行うトレーニングなどが運動です。
当然、野球、サッカー、バスケなどのスポーツも運動と言えます。

生活活動とは、身体活動のうち、運動以外のものを言います。
例えば、掃除機をかける、洗濯物を干す、などの家事。子供と屋外で遊ぶなども生活活動です。
通勤、営業の外回りもそうですが、荷物を運んだり、階段を上り下りしたりもそうです。
農作業、などの仕事上の活動なども生活活動です。

 

体育(Physical Education)
「Physical Education」とは、日本語に訳すと身体教育になります。
身体教育なので、身体を動かしながら、身体的動作や行為、他者との身体的関係性を学ぶことです。
それだけでなく、身体の構造や機能を知るために学ぶことも体育です。
「体育」は、学校教育が中心で行われているので、身体の向上と健康の促進が目的であることは、授業を通じて経験してきていると思います。
体育は心身鍛錬や集団訓練、軍隊教育などのために行われてきたという歴史があります。
軍隊教育では、戦争に勝つために兵士の身体を強くすることが目的で行われていました。
そのため、指導者(上官)が主導権を握り、その指示に従いながら、規律を守り訓練に耐えることが求められていました。

 

武道
「武道は、武士道の伝統に由来する日本で体系化された武技の修錬による心技一如の運動文化で、心技体を一体として鍛え、人格を磨き、道徳心を高め、礼節を尊重する態度を養う、人間形成の道であり、柔道、剣道、弓道、相撲、空手道、合気道、少林寺拳法、なぎなた、銃剣道の総称を言う。」(日本武道協議会より)
つまり、武術・武芸の修業を通じて自制を保ち、欲望や怒り等を消し去り悟りを得ることを目的として行うのが武道です。

 

このように考えると、スポーツ、身体活動、体育、武道は混合されて言われていることが多くありますが、それぞれ違いがあるということがわかると思います。

例えば、自宅周辺をただジョギングすることや野球ボールを持ってただ壁当てを行うことは、身体活動です。
そこから身体の構造や機能、健康概念に基づきジョギングの効果を学び教えることは体育です。
スローイングのメカニックや身体機能を学び、それを踏まえてより速い球やコントロール良くボールを投げることも体育と言えます。
さらに、ジョギングを5km走の競技として発展させルールを創り、より多数の人間がそのゲームに参加し競い合うのがスポーツです。
ただ投げるだけではなく、そこに打者がいて、打たれたボールを守る野手がいて、ルールに則って勝敗を競うのが野球というスポーツになります。
スポーツには他者がいるとも言えます。

 

身体活動も体育もスポーツもどれも重要な役割を持っているということです。
体育とスポーツは異なりますが、体育がいらないというわけではなく、目的としているものが異なるということです。
それぞれの違いを理解し、何を目的にしているのかを考えることで「より善く生きる」ということにつながるのではないかと思います。

ただ、スポーツ、身体活動、体育、武道、どれも共通して言えることは「継続は力なり」ということです。
継続して行うことで、心身ともに変化していき、自分の人生を豊かなものにしていけるのではないかと思います。

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