環境の僅かな違いから結果が変わる。

前回、ボールの縫い目の違いの投稿をしましたが、今回は縫い目だけでなく、野球ボールと環境が僅かに変わるだけで、野球が変わるという話をしようと思います。

プロ野球は、2011年に統一球になり、ホームランが激減し打率までもが下がりました。
正直、反発係数が僅かに変わるだけで、こんなにも野球が変わるのかと驚きました。

ボールが環境から受ける影響や、環境から身体が受ける影響により、パフォーマンスや結果が変わってきます。

ボールが環境から受ける影響とは、風によってボールが伸びたり、沈んだりします。
千葉マリンスタジアム(ZOZOマリンスタジアム)で何度も投げたことがあるので、風の影響で変化球の変化が変わったり、ストレートの軌道が変わったりすることを経験してきました。
マウンドの固さや土の質によってもパフォーマンスが変わります。
気温や気圧によっても、空気抵抗が変わるので打球の飛距離が変わります。
雨や湿気によってボールが重くなったりもします。
「湿気で重くなったぐらいで変わらないだろ」と思うかもしれませんが、ピッチャーはとても敏感です。
硬式野球をしているピッチャーが「軟式ボールを投げたら、軽すぎて肩や肘を痛めるから投げられない」と言う人がいるくらいです。軟式球と硬式球の重さの違いは、僅か10グラム以下です。例えが悪いかもしれませんが、この差は、小さじ2杯以下です。
これで投げられないというのも問題だと思いますが、そのくらいボールの重さに敏感です。

環境から身体が受ける影響とは、気温や湿度によって汗の量が変わります。環境により集中力を欠いたりもします。緊張やプレッシャーにより心拍数など、身体に変化がでます。

ボールの皮の質や手との相性、気圧や湿度などによって、パフォーマンスに違いが出ます。
様々な要素が絡み合いパフォーマンスが決まります。

僕は、手に汗をよくかくので、とにかく、梅雨時の西武ドームのような湿気の多い球場は苦手でした。
僕の場合は、汗で滑るようになった手の湿り具合をコントロールするためにロージンを使います。

逆に、ロージンを使わないような選手は、手にあまり汗をかかないタイプの選手だと思います。そのような選手は、湿気があった方が投げやすいため、手に汗を付けたり、指を舐めたり、ボールを手でこねたりして、投げやすくしています。

アメリカでは、ボールが滑ると言われますが、日本のボールと使っている皮が違うことと、日本よりも空気が乾燥していることで、滑りやすくなります。
シアトルからマイアミまで約4400キロ離れているように、球場により環境も大きく異なります。
日本より、ボールへの対応も、環境への対応も、はるかに難しいことが想像できます。

アメリカは日本とは違って、砂漠の近くの球場や標高約1600メートルにある球場など、球場によって環境がかなり違います。
標高約1600メートルにあるコロラド・ロッキーズの本拠地のクアーズ・フィールドは、気圧が低く、打球が飛ぶことからメジャーで最も打者が有利な球場と言われています。
コロラド州には、砂漠もあるので乾燥もしています。

次に打者有利と言われているのが、アリゾナ・ダイヤモンドバックスの本拠地のチェイス・フィールドです。
アリゾナの砂漠の中にあるので、気温が高く乾燥しているため、打球が飛びます。
打球がよく飛ぶだけでなく、乾燥しているため、ボールが滑りやすく、ピッチャーがコントロールをつけることが難しいのと、回転数が上がりにくくなると思います。

この2つの球場とも、回転数が必要なスライダーやカーブよりも回転数を抑えたいフォークやスプリットのほうが有効になりやすいと思います。(コントロールは難しいですが)
野茂投手がクアーズ・フィールドでノーヒットノーランをしたことと、平野投手がチェイス・フィールドを本拠地にスプリットを武器に活躍していることは、もしかしたら、関係しているのかもしれません。

野球では、相手との勝負以外にも、環境により、どのような影響があるのかを理解し、対応する、対応力も勝敗を分ける大切なスキルになるということがわかると思います。

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