前回の投稿で、「やる気。」の話をしました。
その続きとして、どうやる気を引き出すのかを、さらに考えてみたいと思います。
前回のおさらいになりますが、自らの行動と、そこから得られる快感の結びつきでやる気がでます。
自ら決めた目標を達成することで、快感を得ることができます。
「練習しても能力が上がらない」「練習しても目標が達成できない」ということは、やる気の出ない理由のひとつです。
それが続くと「練習しても能力が上がらない」「もうできない」と思ってしまい、練習を続ける意欲がなくなって、ますます能力が上がらないという悪循環に陥ってしまいます。
成功体験を積むことができないだけでなく、「努力しても無駄」ということを学習してしまいます。
そうなると、練習をやろうとしても、ワクワクすることもなくなってしまいます。
この悪循環に陥らない方法として考えられるのは、チャレンジする目標を、自分の実力よりも、少し上に設定することです。
「少し難しそうだけど、頑張れば何とかなる」と思えるくらいのレベルです。
挑戦レベルとスキルレベルのバランスを保つことが重要になります。
悪循環を断ち切るもうひとつの方法は「成長や結果を待つことができる選手になる」ということです。
僕の見てきた一流選手は、みんな、成績が上がらなくても、結果や成長を待つことができる選手です。
「一生懸命練習したけどできなかった」
そこで、やる気を失うのではなく「次は大丈夫。次はできる」と自分を励まし、またチャレンジします。
未来を予測し、上手くいくイメージを持てるので結果を待つことができます。
的確な目標を立てて、意欲的に練習に取り組む。
上手くいかなかったり、ミスをしても、それを通じてリフレクションを繰り返しながら、次のステップに向上していく。
自らの思考で、こうしたサイクルができるようになると、やる気を保てるので、結果的に成長が期待できます。
まわりの人ができるアプローチとしては、上手くいかないことがあったとしても、成長しようと取り組んでいる姿勢を褒めるということです。
成長を目指し、努力を重ね、成長していく過程自体が快感になると、厳しい練習にも取り組めるようになっていきます。
特に子供は、褒められることがモチベーションになりやすいので、効果的だと思います。
やめられなくなるという状態を作るのに大切なことは、「練習すると、ホッとして、落ち着く」というようになることです。
そのための方法として、心地よく思える練習場所を作るということです。
プロ野球選手でいうと、ピッチャーならトレーニングルームであったり、野手なら室内のバッティングゲージといったところです。
そこに行くと、落ち着いて、自分自身と向き合って練習に取り組むことができます。
ジムでトレーニングを続けている人や、ゴルフの打ちっぱなし練習場に通い続けている人、決まったカフェや図書館などで勉強すると、はかどる、というのも同じだと思います。
なにかにハマたり、やる気をコントロールするのは脳です。
脳の活性化はやる気を生み出します。
そのためには、姿勢をよくする。
食事をしっかり食べ、栄養のバランスに気をつける。
よく噛んで食べる。
睡眠リズムを整え、適度な睡眠時間を確保する。
睡眠不足は、疲労を蓄積させ、脳活動を低下させます。やる気の低下や集中力がなくなったりします。
練習は、動きを覚えることではなく、動きを理解し、定着させることが重要です。
記憶は、睡眠中に定着すると言われていることからも、頭の中に課題を抱えながらしっかり寝る、ということが練習の効率を高めます。
脳を活性化させ、集中力を高めるのに、眼球を上手く動かすことも、テクニックのひとつです。
人は、集中するとき、目線をある1点に固定します。
目線は固定し、眼球をいかに動かすかが、集中するときの目の使い方です。
目線は固定しますが、眼球の固定ではなく、集中してどこか1点を見つめる場合、頭の僅かな動きをキャンセルするように、眼球を動かす必要があります。
スポーツで動いているときは、なおさらです。
カメラの手ぶれ防止機能のようなイメージです。
この目の使い方が、子供がゲームにハマっているときにしている目の使い方です。
これが、練習や勉強のときでも同じようにできなければ、なかなか夢中になって、やらずにはいられないという状況にはならないと思います。
このように、脳を上手く使い、活性化させるには、脳によい習慣を、多く身につけることが必要です。
指導者が選手を見るときに、比べる対象を、指導者の中の理想ではなく、それまでの選手のやり方にすることで、選手の成長を促すことができます。
野球が上手くなりたければ、頑張って練習するのではなく「野球が好きで、毎日練習せずにはいられない」という状態を作り出すことです。
学校の成績を上げたければ、頑張って勉強をするのではなく「勉強が楽しい」「勉強したい」という状態にすることです。
子供は、大人が導いてあげる必要があると思いますが、最終的には、自分の脳をコントロールして、自分の力で、この「やらずにはいられない」ということを作り出せることが重要だと思います。