少ない練習で上手くなるには。

前回の投稿で練習をすればするほど上手くなるわけではないという話をしました。
でも、勘違いしてほしくないのは、だからといって、練習をしなくても上手くなれると言っているわけではないということです。
上手くなりたければ上手くなるための行動をしなければなりません。

今回はそのやり方についての話です。

 

今のやり方のままで、練習量だけ減らせばいいかというとそうではありません。
上手くなるためにはそれでは難しいと思います。
質を上げなければなりません。
そのために大切なことが、夢中になって練習することと、効率的に練習するために、考える習慣をつけることです。
夢中になって練習するというのは、自分から楽しいと思って取り組めばできることです。
例えば、テレビゲームに夢中になるのは楽しいと思って自分からやるからです。
それと同じ状況を作って練習に取り組むということです。

考える習慣をつけるのは、環境が重要になります。
創造力があれば、考えるレベルはさらに高くなります。
大人が答えを教えすぎずに、自分で考えることで育まれていきます。
ミスをしても、できなくても怒られないという安心感があれば、いろいろなことにチャレンジすることができます。

創造力を働かせ、探究心をもち、チャレンジして練習する。さらにそれを夢中になってできれば、成長が見込めるのではないかと思います。

 

しかし、エグゼクティブなアスリートを目指すなら、さらに身につけなければならないことがあると思います。

それは、普段の生活と競技をつなげるということです。

グランドで練習している以外の時間をどう使うのかが重要です。
それは、「その競技が好きで楽しい、もっとやりたい、上手くなりたい」と強く思わなければできません。
そう思えれば、遊びや生活がトレーニングになってきます。

僕が見てきた、一流のプロ野球選手は全員これができています。
生活自体がトレーニングであり、競技が趣味や遊びのようでもあり、そこの境界線が曖昧です。
身体を動かすだけが上達の手段ではありません。
食べることも寝ることも質を上げれば自分にプラスになり、競技力の向上にもなります。
食事が競技のためであり、歩いているだけでも姿勢に気をつけたりと、私生活の中でも、どう競技にプラスになるのかを常に考えて行動します。
競技が義務ではなく、生きがいであり、プレーすることに喜びを感じ、成長する意欲に溢れているので、どこかに成長のヒントがないかと、常にアンテナを張って過ごしています。
知らなかったことを知るということは大切なことで、何かを調べて自分の知識になれば、それも成長であると考えます。

 

僕自身の子供の頃を思い出してみると、山を走り回ったり、木に登ったり、崖をよじ登ったりといった環境や遊びの中で五感を磨き、競技の土台を作ってきました。
僕の小中学生の頃の練習は土日だけでしたが、壁当てをしたり遊びで野球をすることが日課でした。
チームの練習は、トータルしても週に10時間もありませんでしたが、生活の中心が野球であり、野球に触れることが好きで何よりの喜びでした。
サッカーなど他の競技も好きでよくやっていましたが、すべてが野球につながっていました。

ドミニカ共和国の子供たちの話を聞いても、練習時間は短いですが、いたるところで野球をして遊ぶ姿があると聞きました。
硬式球ではなく、何かを上手く丸めて、それをボール代わりにして遊んだりするそうです。
練習の中だけでなく、遊びの中で競技力が磨かれていくということです。

競技が楽しくてやりたいと思うことが成長につながるということです。

 

指導者の中には厳しさを教えることも必要だと考えている人も多くいるように感じます。
厳しさを教えないと将来のためにならないと思うかもしれません。

厳しさを教えたいのであれば、能力を上げてあげることです。
上のレベルに行けば行くほど厳しさを知ることができるからです。
プロ野球まで行けば、本当に厳しい世界なので精神的にも強くなります。
プロ野球選手になれなくても、目標が高くなればなるほど、厳しさが増していきます。
わざわざ指導者が厳しさを教えなくても、立場が人を育てるので、より上の立場になることができるスキルを身につけさせてあげることのほうが必要だと思います。

 

部活動のガイドラインが発表され、少ない時間で効率よく活動することが求められています。
これは、短時間に集中して、質の高い練習をするということだけでなく、部活動以外の時間を有効に使って自分自身を成長させましょうということです。
今までのやらされて長時間やる練習から、主体性を持って、自ら学ぶという方向に変わってきたということです。
時間を有効に使うことを身につければ、今まで以上にいろいろなことにチャレンジできるようになるので、成長が期待できます。
様々な経験をたくさんし、それを競技や人生に活かしていってほしいと思います。