ルイス・クルーズ

昨日、今日と侍ジャパンとメキシコ代表が試合をしています。
メキシコ代表には、千葉ロッテマリーンズ時代のチームメートのルイス・クルーズ選手が入っています。
クルーズ選手は、ロッテに入団する前は、ニューヨークヤンキースでプレーしていました。
何といってもクルーズ選手といえば守備です。
そしてナイスガイです。
ロッテ時代に若い選手に一生懸命教える姿も印象的でした。

そんなクルーズ選手が今回守備を教えてくれました。
しかも、夜のバーラウンジで(笑)

目から鱗が落ちるようなことばかりだったので少しでも共有できたらと思います。

 

話している中でよく出てくる言葉がリズムです。
自分のプレーする動画を解説してくれながら、リズムよく流れるようにプレーするということをとても強調していました。
急いでリズムが狂えば、スローイングが乱れてしまうので、リズムを大切にし、急がないと間に合わない時は、リズムを早くするだけと言っていました。
どんな時も、1.2.3.のリズムは同じです。

 

もうひとつが足の使い方。
足を動かして捕球して、足を動かして投げる。
足を上手く動かすことが大事だということを説明してくれました。
実際、こんなにも足を意識して使うことを重要視しているとは思いませんでした。

そして、足を上手く動かす、ということがどのような動きなのかを細かく教えてくれました。
その中でダメな動きは、足をクロスさせること、と言っていました。
「日本人と自分の違いは足の使い方で、自分は両足がクロスすることはない」と言っていました。
カメラの三脚を例に、「三脚の脚が重なったりクロスしたらカメラは倒れたり、ブレてしまうだろ。カメラは人間でいう目だ。そして三脚は人間でいう足だ。だからクロスさせてはいけない。」と説明してくれました。
足を上手く使うことで、目線を安定させるということです。

投げるときは、右足で地面をプッシュして足で投げるという説明でした。
小手先で投げているように見えますが、意外にも、手ではなく、右足の力で投げているのだと思いました。

自分の右側に来た打球に対して、捕球から3ステップで投げることが重要だが、日本人はどうしても7ステップかかってしまうとも言っていました。
足の使い方もそうだが、手の使い方も3ステップで投げるには重要ということを教えてくれました。

そのやり方は、
「捕球したら身体の中心に両手を持ってくる。」
「片手で捕りにいかずに右手もグラブの近くに置いておく。」
ということを強調していました。
「右手は捕るためにグラブに添えるのではなく、早く投げるためにグラブに添えるんだ。」と言っていました。
僕は小さな頃から、ボールを弾かないように両手で捕ると教えられてきましたが、そうではなく、早く握り替えるために、右手はグラブの近くに置いておくという考えを教えてくれました。

ダブルプレーでは、ボールを捕りにいかないで、身体の近くで捕ること。
「自分が手を引くスピードよりもボールが来るスピードの方が速いのに、なぜ手を前に出す?身体の近くで捕った方が速いだろ」と言っていました。
足を使って胸の前で捕球することを心掛け、逸れたボールに対しては、捕球したら身体の中心に手を持ってくるということを説明してくれました。

打球に対しても、打った瞬間にバウンドを予測して楽な位置で捕球します。
正面の打球には、手を前に出して捕球体勢を作り、手でリズムを取りながら対応していきます。
バッターやカウントで守備位置を変えることも重要と話していました。

 

練習方法を聞くと、テニスボールを2つ使って壁当てをすると良いと言っていました。
ボールを投げたら、左手で持っているボールをすぐに右手に持ち替えて、左手で跳ね返ってきたボールをキャッチする。これを繰り返すと上手くなる。
上手くできてきたらボールを一つにして、早く持ち替えて投げる。
これを聞いて感じたのは、本当に簡単な基本的な練習を繰り返して上手くなったのだと思いました。

また、楽しまなきゃ上手くならないし、自分の子供には、バスケットやテニス、水泳、釣りなどいろいろなことをやってほしいとも言っていました。

「日本の教え方と違う」という話をしたら、「自分はこのやり方がいいと思っているけど、やらなければいけないわけではない。」
「教えてほしいと言われれば教えるが、言われなければ何も言わない。」
「個性は大事だから、人によって教え方は変えるし、その人に合った動きをするべきだ。」
などとも言っていました。
このあたりの考え方も日本とは違うのだなと思いました。

 

とても知的でいろいろと考えながらも、野球を楽しんでいるということが随所に感じられました。
まだまだ現役でプレーできるとは思いますが、とても良いコーチになるのではないかと思うくらい、わかりやすく、情熱をもって教えてくれました。

クルーズ選手が言うように、練習することが楽しいと思えることが上達につながります。
この投稿が、そんな考えもあるんだ、グランドで試してみようという考えになるきっかけになればと思います。

僕自身も教える引き出しも増えたし、とても有意義な時間を過ごすことができました。