生涯学習という言葉は最近よく使われるようになってきています。
学習するということは、生きていくうえでとても重要なことです。
その学習を2つの側面から考えてみたいと思います。
ひとつが自分が成長するために学ぶという学習です。
もうひとつが社会が変化するにつれてそれに適応するためにする学習です。
すでに学習したことの構造を変えるということでもあります。
赤ちゃんや子供の学習は、自分が成長するために学ぶことが中心に行われてます。
参加しているコミュニティが家族であり、そのあと仲間ができてきて、学校に行ってと、大人に比べ、社会に十分参加していないので自分が成長するために学ぶことが中心になります。
もうひとつの社会が変化するにつれてそれに適応するためにする学習は、大人になってから様々なコミュニティに属し、その社会を構成し、動かしているときに重要度が増し、行われる学習です。
どちらの学習も重要ですが、昔に比べ、近年は、後者の学習力をつけることが重要視されています。
なぜなら、社会が変化するスピードが格段に上がっているからです。
昔は時代の変化するスピードも遅かったのでこの学習能力はそこまで重要視されていなかったのですが、現代は時代の変化が加速度的に起こっているからです。
仕事を例に出しても、僕が学生の頃には、ユーチューバーという仕事もなかったしプロのeスポーツ選手が生まれるなんて想像もできませんでした。
もちろん、将来ユーチューバーになりたいなんて人はひとりもいませんでした。そもそもユーチューバーという言葉すらありませんでした。
今後更に、様々なことが今までにないスピードで変化していくことが予想できます。
今持っている知識だけで、10年、20年先の社会で生きていくことは難しいと思われます。
だから「生涯学習」と言われるようにいつまでも学び続けることが求められてきています。
社会が変化するにつれてそれに適応するために必要な学習という部分が重要であるということです。
これが、国を挙げて、「生涯学習できる人」を育てようとしている理由だと思います。
スポーツに求められることも同じです。
日本のスポーツは、体育と混合していることから、多くの選手が練習や課題は、指導者に用意して貰って、与えられてやるものだと思い込んでいます。
思い込まされていると言ったほうが妥当なのかもしれません。
しかし、社会が求めている「生涯学習できる人」とは、スポーツでは課題を自分で見つけて練習できる人のことです。
自分の理想とする選手に近づけるよう自ら考えることができる選手です。
僕は、スポーツを上手く使うことができれば、スポーツはこのような力を育むことに非常に適していると思っています。
スポーツもテクノロジーの進化により、様々なことが証明され、どんどんレベルが上がってきています。
ピッチャーの球速を見ても、僕が、小さい頃は140キロを投げることができるピッチャーは注目されていましたが、今は150キロを投げなくては注目されません。
ここ何年かで、格段にレベルが上がっていると感じます。
プロ野球では、どんな選手でも進化していかなければ毎年成績を残すことは難しいと思います。
これは他のスポーツでも言えることだと思います。
スポーツでは、現状を見て、課題を見つけ、それに対して目標を明確化します。
そして、練習内容やトレーニングを決定し、実行します。
その振り返りをし、次の目標の設定をしていきます。
これを繰り返していくことが上達に繋がります。
これを根気強くできることが求められます。
これができるということは、「生涯学習できる」と同じことです。
学校教育でやろうとしていること。つまり、国が求めている人材を育成することにスポーツが適しているということです。
スポーツで、課題に対して、調べて、情報を入手し、そこから学んで、問題を解決する能力を身につける。
「学ばなければならないのだ」という心構えと「学ぶ方法を知っている」という学習技術は様々な分野で活かせます。
スポーツを通じて、どんな社会になろうとも、その変化に適応する力を身につけることができると思います。
そのためには、指導者自身が学び続ける姿勢を持ち、時代の変化に適応していく必要があります。
スポーツ界は時代遅れと思われるのではなく、スポーツ界が時代の先を目指していくことが重要だと思います。