確率を考える。

前回の投稿で確率の話(実力?運?)をしましたが、試合で成功する確率をどう上げていくかを考えながら、普段の練習から取り組むことが大切です。
今回も確率を考えてみたいと思います。

 

野球だけでなくスポーツは勝つか負けるか。打つか打たないか。抑えるか抑えないか。のように結果が明確にわかります。
このように結果が明確だと、どうしても人はそこに運があったとしても、もっと納得しやすい他の原因を見つけてこようとしてしまいます。
運による影響に目をつぶり、別の因果関係を過大に評価してしまいます。
成功も失敗も、ある程度は運的なことがあるということを理解することは必要です。
もちろん結果が出ればそれなりの要因があり、結果が出ないのも出ないなりの要因はあります。
しかし、そこには偶然の働きもあったはずです。
だからこそ、成功や失敗も、すべてはできる限り確率的に捉える必要があります。
実力がない打者でもたまたまヒットを打つこともあります。
どんなにいい打者でも、打ち損じることはあります。
初心者のような悪いフォームでも狙ったところに投げられる場合もあります。
逆に、適切なフォームを身につけた一流の選手でも狙ったところに投げられないこともあります。
しかし、両者が狙ったところに投げられる確率には大きな差があります。
これらを確率的に捉えることができなければ、実力を正確に判断することができません。
この自分の実力を正確に判断できるのも能力のひとつです。

 

成長できない選手によく見られるのは、うまくいった要因を自分に求めたがります。
その要因が相手であったり偶然のおかげだとは思いません。
一方で、失敗については自分以外にその要因を求めたがります。
「うまくいったのは自分のおかげ、うまくいかなかったのは他人のせい」といった感じです。
成功は自分のおかげと考えることで、前向きな自信を維持できるということもあります。
また、うまくいかなかったのは自分以外の要因のせいと考えることで、そのことに対していちいちくよくよしないで済むという利点もあります。
しかし、運の要素を度外視した、自分の実力を測ることができなければ、成功を続けるということは難しいと思います。

運による成功に対しても自分の貢献度を過大に評価し、たまたま、うまくいった自分のやり方を絶対視してしまったり、反対に、結果が出ないことが続いたときには、「今はたまたま運が悪いだけだ」と考えるだけで、自分のやり方を変えようとは思わず、そこから学ぶことができなくなってしまいます。

そのような選手に多い特徴として気持ちや気合で乗り切ろうとします。
道を切り開くには、気合を入れて努力することは必要なことです。
大きな成果を出すためには、苦しいときに諦めずに努力を続け、チャレンジを続けていくことは重要です。
しかし、それも現状を正確に判断して、適切な方向に努力を積み重ねる場合の話です。
今までのやり方が通用しないときに、やり方を変えずに気合だけで乗り切ろうとしても、その方向が適切でなければ、その努力は報われないものになってしまいます。

成長しないチームの特徴として、苦境になればなるほど、気合に頼ろうとする傾向が強くなっていきます。
文句を言わず、良い結果だけを信じて、一致団結して悪い状況を打破しようと考えます。
うまくいっていないのなら、まずは、今までのやり方がうまくいかない状況にきているのではないかと考えるべきです。
方向を決め、そこに努力を傾ける必要があります。
気合に頼る精神論は、そうした方向性の修正をなかなかしないために、的外れの方向に努力を重ねる結果につながってしまいます。
過去にたまたま成功したことが、そのやり方を正しいと思い込み、新たな状況に適応できなくしてしまいます。

 

スポーツである以上、相手がいることなので、うまくいくこともあればいかないこともあります。
そこには、少なからず、運も存在しています。
運が存在しているからこそ、確率を高める努力をしなければなりません。
成功、失敗両方から学び、次につなげていくという姿勢が成長につながります。
結果だけに左右されずに、もっと本質的な部分を評価していくことが重要です。

運が存在するということを理解して、成功する確率を少しでも上げていけるように努力をすることが大切だと思います。