子供のウエイトトレーニング。

前回、前々回とウエイトトレーニングはについての投稿をしてきました。
ウエイトトレーニングの効果。
ウエイトトレーニングとパフォーマンス。

成長期の子供と大人とが、同じウエイトトレーニングをやって問題ないのでしょうか?
そもそも子供たちにウエイトトレーニングは必要なのか?

子供たちを指導していて「ウエイトトレーニングはやったほうがいいですか」と聞かれることが良くあります。
今回は、成長期の子供のウエイトトレーニングについて考えてみました。

 

ウエイトトレーニングをすることで得られることは、筋肉が大きくなることです。
そう考えると、大人と同じような筋肥大を狙ったウエイトトレーニングは成長期の子供には必要ないというのが僕の考えです。
(競技によっては必要な競技もある。野球では必要ない。)

筋肉を使いこなす神経の機能を低下させたり、反射と言われる反動動作が下手になったりするのがウエイトトレーニングの弊害でもあります。
このような能力は子供の頃に、特に成長すると言われています。
1番筋肉を動かす神経の機能が発達する時期にそれを阻害するようなウエイトトレーニングはやらない方が良いのではないかと思います。

 

成長期の子供に大切なことは、筋肉を太くするよりも長くすることです。
筋肉が発揮できる力の強さは、筋肉が太くなるほど強くなりますが、筋肉が長くなることでも強くなります。
この筋肉が長くなるというのは、骨が長くなるということです。
筋肉を太くするのは何歳になってからでもできますが、長くするのは、骨の成長が止まるまで、つまり、身長が止まるまでしかできません。
少しでも高身長になり、筋肉が長くなれば、多くの競技で有利になります。
特に野球のピッチャーは、高身長になることで、投球の際に、より大きな力をボールに加えることができます。
投球は円運動なので、円の半径を大きくでき、さらに、ボールに力を加える時間も長くできます。
長い筋肉の方が、力も大きくなるのでスピードボールを投げることができます。
だから、少しでも身長を高くする努力、骨端線を早く閉じさせない努力が必要です。

骨端線が閉じてしまうともう身長が伸びることはありません。
その骨端線を早く閉じさせてしまう要因は、過度に骨や関節に負担がかかことです。

適度な刺激は身体の成長を促進させてくれるのですが、負荷の強すぎることをすると骨や関節に負担が掛かるため、身長があまり伸びなくなってしまいます。
大人がやるようなウエイトトレーニングは、負荷が大きすぎます。
筋肉の疲労が強すぎると、その回復に成長ホルモンが使われ、身長を伸ばすために必要な成長ホルモンが不足してしまうことも考えられます。
だからといい、負荷を落としては、ウエイトトレーニングの効果がでません。

このような理由から、成長期の子供にウエイトトレーニングは必要ないと思っています。

 

ウエイトトレーニングではなく、自重を使った身体を上手く動かせるようにするようなトレーニングであったり、遊びやさまざまな運動を行うことで身につく身体操作の方が重要だと感じています。
負荷が特定の部分に集中するのではなく、全身をバランスよく鍛えられる運動を行うことが大切です。

適度な刺激は身体の成長を促進する効果があるのですが、この適度が個人差があります。
年齢や発達度合いに応じたトレーニングプログラムが必要です。
年齢が同じでも、体格差があったり、筋肉の成長度合いも異なるので、その選手に合わさなければなりません。
横並びの同じトレーニングをするのでは、その選手にとって適切な負荷にすることは難しいと思います。
当然、大人がやるようなプログラムを子供にやらせるのはよくありません。

子供を成長させるには、その子供にとって、今何をすることが良いのかを常に考え続けなければなりません。
筋肥大を狙ったウエイトトレーニングではなく、怪我の予防や基礎体力の向上を目指したトレーニングをした方が良いと思っています。
そして、その時に忘れてはいけないのが、適度な睡眠です。
成長期の子供には身体の成長のために十分な睡眠は欠かせません、

運動も休養も何事も適度を見極めてやっていくことが重要だと思います。