大人と子供では、考え方が違います。
歳を重ねるごとに思考も変わってきますが、そこには個人差もあります。
思考の成長度合いの個人差は、5歳差あると言われています。
例えば、同じ10歳でも、12歳くらいの子もいれば、8歳くらいの子もいます。
さらに、3月生まれと4月生まれでは約1年の差があるので、上と下で1年ずつプラスして考えると、同じ学年でも7歳くらいの差があってもおかしくありません。
そのことを踏まえて子供たちと接していく必要があると思います。
まず知っておかなければならないことは、子供が何かをする動機は「楽しいから」です。
例えば、野球の練習をする理由も楽しいからです。
大人になれば「この目標を達成したい」「成長したい」という動機で何かをすることができますが、子供はそうではありません。
目の前の興味で行動します。
それだけでなく「チームのために」ということも理解できません。
「チームを勝たす」「負けたくない」といった意識よりも自分が「打ちたい、抑えたい」という考えでやります。
まず理解できるのは「自分のために」だけです。
だから、チームワークは、みんなで揃ってやチームのためにではなく「自分のために一生懸命やること」がチームワークと教えるべきだと思います。
その中で少しずつ「自分がどうしたら上手くなるか」「どうしたら成長できるか」といったことを教えながら、他人の意見や価値観を尊重し、耳を傾け、お互いに卓越性を追求するということを理解できるようにしていきます。
また、子供は「努力」すれば「勝利」が近づくという「努力」と「勝利」を結び付けて考えることができません。
例えば、子供に「遅刻するから、早く準備して」と何回言っても子供は急がずにゆっくり、といったような経験があると思います。
それは、未来と今を結び付けられないからです。
大人は論理的に未来を見通し、現在の行動における結果を予測できるのですが、子供はそれができないので「今急がないと、後々の行動に影響がでる」「今急がないと、他の人に迷惑がかかる」といった因果関係を理解できません。
言って急ぐのは「言われたから」や「怒られたから」という理由です。
未来と現在を結び付けられないので、勝つために練習するということも理解できません。
「練習しろ」「勉強しろ」「早くしろ」と命令したり、「それじゃ無理」「そんなんじゃ失敗する」と否定したりすることよりも、子供の発想で経験を積ませることの方が、子供の成長につながります。
「負けて悔しくないのか」「チームのために動け」「勝つために練習しろ」と言って動くのは、それを理解しているわけではなく「コーチが怒るから」「コーチに言われるから」といったような動機でやっているだけだと思います。
このように言うことは、子供の成長を妨げます。
それだけでなく、こうした関わり方をすればするほど、脳が育っていかないので、集中力のある子に育っていきません。
中学生くらいになれば理解できるようになってきますが、1人1人成長度合いが大きく違うので、それぞれの個性に合わせて接することが大切になります。
ゴール(目標)に向かって行動すれば、成長できるということを、少しずつ理解させていくことが重要です。
自分で考えて行動に移すことや失敗の体験をさせずに、手っ取り早く結論や成功ルールを導き出す方法を教えることは、過程での経験を積めず思考が育ちません。
考える経験を十分にさせないで先に教えることは、創造性が育たず、新しいことを見つけたり、人と人との関係の中で、上手に生きたりしていくことができる人には、なりにくいと思います。
子供にとって今やるべきことは何なのか。
どのようなやり方が子供の将来のためになるのか。
日々研究が進み、今までのやり方より、もっと効果的なやり方が出てきたり、分からなかったことが証明されたりしてきています。
親や指導者の我慢強さや知識が子供をより成長させることになると思います。