球数制限

ボーイズリーグは連盟が投球制限を設定しています。

武雄ボーイズでは、それに加えて、選手の身体を守るために独自の球数制限を作っています。
ルールにして、それに従うことでわかりやすく選手の肩や肘を守ることができると考えました。
僕の考える球数制限は、試合の勝利よりも選手の身体や将来を第一に考えているという前提から成り立っているということを理解していただきたいと思います。

先ず、球数制限がなぜ必要なのか?それを考えたいと思います。
・選手の健康が最優先されるべきだから。
・選手の肩肘の故障が多すぎるから。
・中学生は特に選手の実力に差があるため限られた選手の酷使が起こりやすいから。
・投げ過ぎを見極めるのが難しいから。
・勝負である以上どうしても勝ちたいという気持ちが出て、無理をさせてしまうから。
・ルールなら守らざるえないから。
・「大丈夫です。まだ投げられます。」と言う選手を止められるから。

このようなことがあげられます。

ボーイズリーグの連盟の投球制限は
・1日7イニング以内とし、連続する2日間で10イニング以内とする。
・練習の中での全力投球は、1日70球以内、週350球以内とする。また週に1日以上、全力による投球練習をしない日を設けること。

これが連盟の出している投球制限です。

この連盟の投球制限の不足分を補いたいと思い独自の球数制限を作りました。
不足分とは、選手の成長段階やフォームは一切考慮されないので人によっては投げ過ぎになってしまいます。
7イニング以内なら何球でも投げられてしまうということもあります。
これを補うために独自の球数制限を加えました。

武雄ボーイズ独自の球数制限は
・1人の投手が投げられる球数は、1イニングの投球数から10を引いて、その球数の合計が25球までとする。(例えば、毎イニング15球だとしたら5イニング投げられる)

・打者の途中で球数制限に達した時はその打者までとする。

つまり、1イニング10球以内なら何イニングでも投げられることになります。(連盟のルールで7イニングしか投げられないので最高でも95球)

なぜこの球数制限にしたのか理由を説明します。

僕は、投手が故障をする1番の原因はフォームにあると考えています。
そのため、故障をしない1番の方法は「いいフォームで投げること」であると思っています。
そのいいフォームとは、
・可動域が確保されていて、極力、代償運動をしないフォーム。
・バランスのいいフォーム。
・身体機能、身体操作が十分にできているフォーム。
・腕に頼らないフォーム。

非常に簡単にですがこのようなフォームをいいフォームと考えています。
選手には、いいフォームを身につけてほしいと思っています。

いいフォームで投げていなくても成長が早く身体が大きい選手はスピードは出せます。
しかし、いいフォームで投げていないとなかなかコントロールはつきません。コントロールのない投手は球数が増えてしまいます。
つまり、この投球制限は、いいフォームを身につけた選手でなくては多くイニングを投げられないようになっています。

ただボールを投げさせないで故障を防ぐだけでは選手の将来のためには十分ではありません。パフォーマンスを上げることも必要です。
そのためには、極端な話をすると絶対に故障しない、疲労しないのであれば、数多く投げた方が上手くなる可能性は上がると思っています。
故障のリスクが低い、いいフォームの選手ほど多く投げることができます。
選手の身体を守りつつ、よりパフォーマンスをあげられるように考えました。

これは、選手がどうしたらいいフォームを身につけられるのか、という考えに導きやすいという面もあります。

また、どんどんストライクゾーンで勝負するという方向にも繋がるのではないかと思います。

見た目ではいいフォームで投げられていても、筋肉が関節を守る働きをしているので疲労で筋肉が働かなくなると故障のリスクは上がります。
ピッチャーはイニング間に疲労を回復させながら投げています。1イニング10球以内ならイニング間にある程度筋肉の疲労を回復させられると思います。
1イニングの球数が増えればそれだけイニング間の筋肉の回復が間に合わなくなり、関節に負担が掛かります。
1イニングの球数が多くなるほど球数制限に近づくので、筋疲労による関節の負担を減らせます。

さらに、経験上、疲れている時や不調時に多くの球数を投げることで故障のリスクが上がるということを感じています。
故障をしないピッチャーは「違和感があるから投げない」という判断が優れています。
その判断力が身についていなくても、この球数制限は、不調時に球数を多く投げるのが難しいルールにもなっています。

このようなことからこの球数制限を決めました。

しかし、球数制限は、僕の本意ではありません。本来は指導者や選手自身がこれ以上は危険と予測して球数やイニングを決めるべきだと思っているからです。制限があるからといって選手の状態を見極める努力を怠ってはならないと思っています。
球数制限はありますが、この制限は上限であり、選手を見極める能力は必要です。制限に到達しなくても危険と感じたら止めることができなくてはいけません。指導者の目が完璧なら制限はいりません。指導者はその完璧な目を身につけることを目指して努力しなくてはなりません。

この球数制限は、ベストではありません。まだまだ改善の余地があります。そのように思っています。
情報を集め、探究を続け、選手にとってより良い環境を作っていきたいです。

カテゴリーTIPS