「比較対象は今までの自分。今までの自分よりも少しでも成長することが大切。」
僕がいろいろなところで言っていることです。
どんなにすごい人でも、今までの自分を少し超えるということを多く積み重ねているだけです。
生まれたときからプロ野球選手の人はいません。
オリンピックやプロスポーツでは相手に勝つことが重要になってきますが、子供達や部活動ではそれ以上に今までの自分よりも少しでも成長することのほうが重要であると思っています。
比較対象を常に今までの自分に置いておき、それを超えることを目指すことが重要だと考えています。
大谷翔平選手は投げるボールの最速が165キロです。
これは日本人最速でもあります。
大谷翔平選手が166キロを投げるのと、今までに120キロしか投げたことがない選手が121キロを投げることは、本人からしてみれば、どちらも自己記録を更新し自己最高記録を出したという意味では同じことです。
仮に大谷選手が166キロを投げたとしたら、おそらく大谷選手にとっては通過点でしかないとは思いますが、周りの人は評価をし祝福するのではないかと思います。
それと同じように120キロしか投げたことがない人が121キロを投げることができたらその周りにいる人は評価をし祝福してあげるべきです。
大切なことは良い結果が出たときや良いパフォーマンスが出せた時には、周りはその出来事を褒め称え一緒になって喜ぶことです。
これは野球に限らず、他のスポーツでも勉強でも多くのことに当てはまります。
人の記憶というのは、心の底から喜んだり、感動したりすることによって、より強固になっていきます。
その証拠に今までで一番嬉しかったことや喜んだこと感動したことは鮮明に覚えているのではないでしょうか。
だからこそ新しくできたことや上手くいったことは、本人が忘れずに、より記憶できるように周りの人は本人に喜びを与えるようにしてあげることがその人のためになります。
それとは別に、身の危険を感じたことや恐怖を感じたこと、恥ずかしかったことなども記憶に残りやすいことです。
だからこそ、ミスをしてしまった時になるべく記憶に残さないように怒ったり恥ずかしい思いをさせないように少しでも周りが助けてあげることが必要です。
ミスをするたびに怒られたり、恥ずかしい思いをさせられると、そのミスをどんどん記憶していき、気がつけば記憶の中が上手くいかなかったことばかりになってしまいます。
本当に酷い場合にはトラウマのようになり、同じような場面で上手くいかなかったことを思い出してしまいプレーに支障が出ることもあります。
ミスしたことを記憶するのではなく、そのミスの改善方法やミスをしないで上手くできるやり方を記憶しなければなりません。
ミスだけを記憶するということは良いことではないので、ミスを記憶に残さないように周りも協力してあげることがその人のためです。
成長するとは、今まで知らなかった新しいことを記憶したり今までにできなかった動きが新しくできたりと、脳に新しい回路ができることです。
その新しい回路を引っ張り出してきて必要な時に使えるようにするのに記憶が重要です。
大人は簡単だと思っていても子供にとっては難しいことはたくさんあります。
「1+1」は大人は誰でもできますが子供はどこかのタイミングで「1+1」ができるようになります。
生まれた瞬間からできたわけではありません。
大人にとってはできることが当たり前でも、子供にとっては当たり前ではなく自己新記録に近いような状況は多くあります。
できないことばかりを注意するのではなく、今までの能力を見極め、例えたいしたことではなくても、できたことをしっかりと褒めてあげることも成長には大切なことです。
褒めることの狙いのひとつが、その相手を喜ばせることによって感情を刺激し、より記憶に残してもらうことです。
逆に、怒るということは脳を萎縮させるだけでなく記憶の面でも、チャレンジを促す面でも非常に多くのデメリットがあります。
時代が変わったから怒ってはいけないのではなく、怒ることで成長を阻害させてしまうということが、科学的に証明されてきたから怒ってはいけないということです。
指導者のアプローチで記憶に残したり、記憶に残らないようにしたりを上手くコントロールすることができます。
今までの自分を少しでも超えることができたのなら、それを評価してあげることが、さらなる成長につながっていくのではないかと思います。