子供の成長段階。

子供には成長の段階があり、いきなり大人になるわけではありません。
これは、身体的な部分だけでなく、精神的な部分や考え方も同じです。
子供たちに大人と同じように接したり、大人と同じようなトレーニングをやらせることが効果的ではないことも多々あります。
僕が子供たちと接する時に注意していることを書いてみました。

 

スクールや様々なチームを見ているので本当にいろいろな子供がいるということが良くわかります。
その中で、それぞれの子供に成長してもらいたいと考えたときに、その子供に適した接し方ができるかで成長が大きく変わってくると感じます。

先ずは、子供たちが積極的に身体を動かす習慣を作ることを心掛けます。
特定のスポーツをやるよりも、遊びでもいいので身体を動かすことで様々な動きを覚えていくことが重要だと思っています。
身体を動かすことが好きという子供にすることが、後のスポーツ競技での成長につながると思います。

その中で、スポーツを少しずつ覚えていき、スポーツを好きになってもらえるよう楽しませることを心掛けます。
その競技が好きだというようになることがその競技力を上達させるのに欠かすことができないことです。

競技の技術や体力を高めていくのはその後だと思っています。
野球でいえば「打った」「抑えた」といったような個人のスキルをどう伸ばしていくかを考えます。
まだこの段階では、チームの勝利を求めることはしません。
個人のスキルが上がることで、さらにその競技が楽しくなり、ますますその競技が好きになるという循環を作ることが大切です。

もっと上手くなりたいという思考と、「試合で勝ちたい」「勝つことがうれしい」といったような感情が芽生えてきてから、チームプレーやチームの勝利にどう貢献するのかを教えていき、相手に勝つことを目指します。

さらに上を目指したいという選手には、プレッシャーなどのストレスをストレスとして感じるのではなく力に変えていくことを教えていきます。
カテゴリーが上がれば厳しさが増していくということも教えていく必要があります。

 

大まかに、このような段階を踏んでいくことを心掛けています。
この順番を無視して選手を育てていくことは難しいと思っています。

外遊びなどで身体を動かして遊ぶことで土台を作り、スポーツが好きで楽しいと思うことで自分から進んで練習に取り組むようになります。
これがないのに技術や体力をつけさせようとトレーニングさせても選手にとっては苦痛になってしまいます。
本人が「上手くなりたい」「成長したい」「いいプレーをしたい」と思って初めてトレーニングに積極的に取り組むことができます。

ある程度まで成長しなければ「チームにどう貢献するか考えろ」や「負けて悔しくないのか」と言ったところで理解できません。
だから、子供の中には、チームが勝っても自分が活躍できなければ落ち込んでいる子供がいるし、逆に、チームが負けても自分が活躍できていたら喜んでいる子供もいます。
チームが負けたことをチームメートと悔しがり、負けたことから何を学び、それを次にどう活かしていくかが考えられるようになってやっとチームの勝利を全力で目指しにいくということができます。

これらの段階は、積み上げていくものなので、いつになっても身体を動かすことが好きで、スポーツを楽しめないといけません。
上のレベルになれば、自分をどうしたら成長させれるかを常に考え、献身的にチームのために動くことを考えることが必要です。

 

このような段階で子供たちに接することで子供たちは、競技を夢中になって行い、楽しむことができます。
夢中になれないようなら、ひとつ前の段階に戻って子供のやる気を引き出す必要があります。

どうやっても夢中になれない、心の底から楽しめないようなら、他の競技をしたり、他のことをしたりしてその子供に合うものを探すことも考える必要があると思います。
親や大人がやらせたいものを無理強いするのではなく、子供がやりたいこと、打ち込めることを一緒に探してあげることも重要なことです。

子供たちの成長段階には個人差があります。
それを見極め、その選手に適した接し方ができるようコミュニケーションを取りながら成長を促していけたらと思っています。

指導者は、子供たちがどうしたらスポーツを楽しめるかを考えることが大切です。
その競技を嫌いにさせないということは、選手を上手くすることよりも遥かに重要なことだと思います。
スポーツを通じて人格を身につけ、生きていく力を育み、それを次の世代に伝えていくという流れを作ることがこれからのスポーツ界が目指さなければならないことではないかと思います。