創造性(創造力)

プロ野球選手になる人となれない人の違いに創造力があります。
これは、野球教室や子供たちを指導しているときにとても感じます。
大半の選手にプロ野球選手が持っているような創造力がありません。

どうしたら自分が成長できるのかと考えるよりも、これは今までにやったことがないからできない。上手くいかなかったらどうしよう。というような考えが先行してしまい、自分の枠から出ることを恐れているように感じます。

指導者は、投げるや打つなどの技術を教えたがりますが、僕は創造力のほうがはるかに重要なスキルだと思っています。
そして、伸ばそうと思えば伸ばせる能力なので優先的に向上させたい能力だと思います。
創造力は、環境によって育っていく反面、環境により失われてもいきます。
創造力が育つ環境に選手を置くことが重要だと思います。

そんな創造力の話をしていきます。

 

創造力とは、自分の考えや技術で、新しいものをつくりだす力。ものを生みだす能力。などのことを言います。
つまり、スポーツでは、新しいスキルを身につけたり、今までできなかったことをできるようにするのに使う能力です。
喜びや楽しみを生み出す能力でもあります。

高い創造力を持っていると、身につけたい技術をひとつのやり方だけでなく、違った方法で習得したり、問題に対して他の人とは違う捉え方をすることができたりします。
他の人が怖くてできないようなリスクを取ったり、大勢に立ち向かい、自分の信念を守るだけの勇気があったりもします。
他の人が屈してしまった障害や課題を乗り越える方法を探し、チャレンジすることもできます。
創造力によって、どう自分自身を成長させようかを考えることができます。
普段やっている練習に対しても、「この練習は、本当に意味があるのか」「どうしたらもっとよくなるのか」といったような考えなので、どんどん練習がカスタマイズされていきます。

創造力のない選手は、思考の停止を意味するので、同じことを永久に繰り返したり、誰かと同じ行動をし続けたり、言われたことしかできない、といった行動になります。
自分から楽しみを生み出すことができないので、モチベーションも上下してしまいます。
これでは、なかなか上手くなることもできません。

創造力は、練習の意欲を上げるのにも、とても重要です。
「次は、こう練習したらこんなことができるようになるのではないか」
そう考えるだけでワクワクしてきます。
そうなると、さらに創造力が増し、もっと意欲が増します。
「早く、練習で試してみたい」というような感覚になっていきます。
進んで練習に取り組むこともでき、練習の質も量も上げることができます。

練習は大切ですが、根性勝負で、ただ辛い練習をしたり、長い時間を費やすだけでは効率的ではありません。
創造性を欠いた、機械的な反復練習よりも、探究心にあふれた練習こそ、意欲的に練習に取り組むことができるので、効率的な練習だと思います。

このように、創造性と意欲には、深い関係があります。
それは、創造性は、人間が持っている本能だからです。
特定の人だけに備わった才能ではなく、人間なら誰でも生まれ持っている能力だということです。
本能だけで動く子供が創造力に溢れていることからもわかると思います。

創造力が、やらされる練習ではなく、自分からチャレンジし、自ら練習をする原動力になります。
あるとないでは、成長に大きく関わってきます。

創造力の大きさは可能性の大きさでもあります。
創造力が働かなければ、それだけ可能性も狭まってしまいます。

これからの時代を生き抜いていくには、創造力はこれまで以上に重要になるのではないかと思います。
創造力は、まさに「生きる力」「生き抜く力」「社会で活躍できる力」であると言えます。

 

どのような場面で創造力が発揮されるのかを考えてみると、今のままでは不安だという、現状に対する不満が創造性を促したりします。
また、こんなやり方を思いついたという、ふと思い浮かぶこともあります。
行動を起こしていく過程で、新しい発想が生みだされることもあります。

スポーツは、本来、創造力を育むのに適しています。
スポーツとは、強制されて行うのではなく、自らの判断で、自由にプレーを想像して行うのがスポーツだからです。

創造力は、いろいろな場面で発揮されますが、創造力には、個人差があり、トレーニングによって育てることが可能だと思っています。
せっかく人間みんなに備わっている能力なので、それをさらに育てていく努力をするべきだと思います。