チームの特徴。

野球というスポーツは、年代が替わるごとにチームが変わります。
監督が代われば違うチームに変化します。
今まで経験したチームの特徴を振り返りながら、どのようなチームがあるのかを考えてみました。

これは、チームの目的によって違ったり、時代や、チームが求められていること、社会が求めている人材によっても違ってくるので、良い、悪いを判断するのはとても難しいと思います。
良い、悪いではなく、これを踏まえて、参考になることが少しでもあればと思います。

 

まず初めに、独裁チーム。
ひとりのトップが全てを決めるようなチームのことです。
トップに立つ個人の力で支配的に運営します。トップの言うことは絶対です。
そのために、トップの力が重要で、トップに全員が依存する状態になります。
このやり方では、トップに立つ人の能力以上の人材は生まれないと思います。

僕自身は、このようなチームは経験したことはありませんが、話で聞いたりはしました。

 

次に、数十年前の部活動によくあった、トップダウンの年功序列に基づくチーム。
軍隊や昔の部活動をイメージするとわかりやすいと思います。
監督→コーチ→キャプテン→上級生→下級生のように、上下関係が決められています。
その上下関係が年功序列のように決まっていて、変えることができません。
チームの決まりに順応し、下の者は「はい」「いいえ」の答えのみというように、発言権は与えられてはいません。
そのため、指示や命令に順応に従う人を育てます。
変化や競争よりも上下関係が優先されるために、成長しようとするモチベーションはなかなか生まれません。
チームワークは生まれずに、チームワーク=支配という形になります。
同じ階級で励まし合ったり、慰め合うことで仲間意識をつくります。

 

次に、上記のチームの上下関係が年功序列ではなく、成果や成功により変わるチーム。
年功序列ではなく、実力や評価を得た人が上に立つことができます。
成長しようとするモチベーションは生まれ、競争が可能になります。
その代わりに、結果を出し続けなくてはなりません。
上に立つ者の態度が大きくなったり、偉ぶるということがよく見られます。
常に、評価を気にするあまり、幸福度が低くなる恐れがあるのと、好きという感覚がなくなるということが問題になります。
しっかりした上下関係があるので、例えば、選手間で問題が発生した時に、選手→キャプテン→コーチ→監督のように伝言ゲームをしなくてはならず、問題が正確に伝わらない可能性が高くなるのと、時間がかかってしまうということも起こります。

 

次に、ファミリーのようなチーム。
ファミリーなので、チーム内の人それぞれが、お互いを大切にします。
結果や成果だけでなく、それぞれの幸せまで考えます。
共有された価値観(目標)を持ちやすく、チームワークが生まれます。
主体性が発揮され、個人個人の多様性が尊重されるので、新しくチャレンジすることも可能です。
決定権は上に立つ人が持っていますが、意見はみんなが出せます。
しかし、最終的な意思決定は上の人がするので、上の人に頼る傾向も生まれます。

 

最後に、チームワークをもった個々の集合体チーム。
偉い人がいないで、チームワークのあるチームです。
「監督」や「コーチ」はいますが、偉いという感覚ではなく、単なるチームメートで、違う役割の仕事をしてくれている仲間という感じです。
命令をすることはなく、お互いにコミュニケーションをとり、どうしたらより上手くいくのか、より成長できるのかを考え、協力するということです。

上の人が下の人に指導するといったような関係ではなく、誰も年齢や役職を気にせず、自分で考えて、お互いが助け、助けられ、尊重し、感謝します。
自分で意思決定をして物事を進めることができます。
全員が対等に意見でき、価値観のすり合わせができます。
その反面、全員に責任が生まれ、全員が責任感を持つ必要があります。
練習や試合に対する姿勢が無責任な選手、誰かに依存的な選手、どうすればより成長し、良いチームになるか考えていない選手、などがいなくなるので、チームワークが最大限に発揮されます。

このようなチームは、いきなりできるわけではないと思います。
このようなチームを目指すには、チーム方針やチーム理念に基づいた、共通の認識が必要です。
自制を保つ、思いやりをもつ、フェアプレー、卓越性をお互いに追求する、といったようなスポーツパーソンシップの理解がなければ実行できません。
お互いを尊重し、目的のために協力する姿勢が重要です。

 

時代の変化とともにチームのあり方も変化してきています。
学校教育も詰め込み教育から考える教育に変わってきています。
忍耐力を持った人材よりも主体性を持った考えられる人材の育成が求められるようになってきました。
そう考えると、これからのチームは、ファミリーのようなチームであり、チームワークをもった個々の集合体のようなチームが求められるようになってくるのではないでしょうか。

すべてをいきなり変えるのではなく、所属する人の成長度合いに合わせて、バランスを取りながら、ファミリーのようなチームからチームワークをもった個々の集合体のようなチームに変えていくというやり方も必要だと思います。

 

どんなチームにも信頼関係は必要であり、個人として、それぞれが、満足度が高く幸せを感じられるか。学ぶことが多く、成長を感じられるか。
チームとして、良い結果が残せるか。効率よく発展できるか。
このようなことが可能なチームを目指すことがひとつの基準になるのではないでしょうか。

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