卓越性の追求。

スポーツでは、「卓越性の追求」という概念を忘れてはいけないと思います。
僕がスポーツパーソンシップを教える時に、同時に教える概念です。
それだけスポーツをする上で欠かすことができない考え方であるとも言えます。

何かヒントになることがあればと思います。

 

卓越性とは、より高いところを求め続ける心と行動を言います。
スポーツで重要なことは、卓越性をお互いに追求するということです。
対戦相手同士が同意したルールのもとで、選手が互いに最善を尽くし、卓越性を相互に追求するということです。
勝ちを目指して全力でプレーする中で、自分自身がより成長することを目指すだけでなく、チームメートや相手チームの選手も卓越性を追求し、お互いのパフォーマンスの向上、上達を目指すことがスポーツでは重要です。

スポーツでは、相手を騙すプレーや弱点を突くプレー、相手の嫌がることをする、などということは試合で勝つために必要になります。
「騙す」「嫌がることをする」といったことのすべてがスポーツパーソンシップに反しているわけではなく、スポーツを面白くするための要素でもあります。

野球では、ストレートと思わせて、変化球を投げる。インコースと思わせてアウトコースに投げる。
走らないと思わせて、盗塁する。
といったような駆け引きがあります。
サッカーやラグビー、バレーボール、バスケットボール、格闘技、などの対面のスポーツには、相手との駆け引きでフェイントを使います。
「弱点を突く」「嫌がることをする」というのは、相手の能力の劣るところを狙ったり、技術が低いところを攻めたりします。
例えば、サッカーで足の遅い選手のサイドを狙ったり、バスケで背の低いところに背の高い選手をマッチアップさせたり、バレーボールでレシーブが苦手な選手を狙ったりといったことです。
または、ピッチャーの癖を探したり、こう動いたら牽制球を投げるなどを知り、攻略に役立てる。
サッカー、ラグビー、バスケなどでは、こうパスを回したらここにスペースができるからそこを狙うといったこともあります。
そのためにデータを集めたり、相手を観察したりして戦略を立てます。
これらの「騙す」「弱点を突く」「嫌がることをする」というのは勝つための戦略になります。
戦略を立てて駆け引きをすることはスポーツの楽しみのひとつです。

逆に、「騙す」「弱点を突く」「嫌がることをする」といったことがスポーツパーソンシップに反していると捉えられる場合もあります。
審判を騙してプレーする。サッカーでレフリーに見えないように相手を引っ張る。野球でバッターがキャッチャーの位置をチラ見する。相手に野次を言いプレーの質を下げる。大声で威圧する。などの行為です。

これはわかりやすい例を挙げましたが、判断に迷うことがあると思います。
その判断材料になるのが、お互いに卓越性を追求できているのかということになります。
スポーツは、ただ勝てば良いのではなく、スポーツパーソンシップに則り、お互いが成長につなげることができなければなりません。

試合の本質とは、スポーツパーソンシップに則り、相手より優れていることを示す。また、相手と共に成長を目指し、お互いが充実した感情を得ることであると言えます。
卓越性を追求することで、成長につながり、充実と自信が生まれます。
成長で得た自信や能力は、プレーの質を変えるだけでなく人間そのものを変えることができます。

技術的成長、身体的成長、精神的成長、などが、選手が目指すべき目的です。
勝敗は、卓越性を追求する過程でどちらかに決まります。勝者がいれば敗者もいます。
だから、目先の勝利よりも、勝っても負けても人間的な成長を目指すことが重要になります。
勝利だけを目指し、成長を考えずに小手先だけで勝とうとすることはスポーツの理解に乏しいと言えます。
また、相手や味方選手に怪我をさせては、その選手の成長機会を奪うことになります。
そうなれば相互に成長を目指すことはできなくなります。
選手の身体を守ることも考えなくてはなりません。

 

まとめると、
競技スポーツの本質は、対戦相手同士が同意したルールのもとで、スポーツパーソンシップに則って、卓越性を相互に追求するということです。
さらに、これらのことをプレーヤーだけでなく、監督、コーチ、観客も含めた関係者が理解することで、より良いスポーツ環境になっていくと思います。

「卓越性の追求」を頭に入れて考えることは、選手や指導者が肯定的で健全な選択をし、何をするときにも、どうすることが成長につながるのかを考える助けとなるのではないでしょうか。
これは、人により考え方に違いが出てくるとは思いますが、自分なりの「卓越性の追求」の考えを持ち、物事を判断することが重要だと思います。

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