指導者と子供とのコミュニケーション。

子供たちを指導する上で、コミュニケーションは欠かすことができません。
大人と接している時と同じ接し方で子供たちと接するのでは十分ではないと思います。
子供と接するには、子供とどう接するべきかを考える必要があります。
そんな選手とのコミュニケーションの話です。

 

選手とのコミュニケーションなしには的確な練習はできません。
指導者の考えを一方的に伝えるというのではコミュニケーションとは言えません。
選手が望んでいることを聞き出すために、まずは選手の話をしっかり聞き、どうすれば役に立てるか考える必要があります。
相手の語彙力や伝える能力を把握した上で、選手の言い分を聞かなければ対応も決まりません。

特に子供たちの気持ちや考えというのは、見た目ではなかなかわからないものです。
会話の中で、質問を繰り返すことで、どうしたいのかを把握していくことをしなければなりません。

例えば、試合に負けた子供たちが悔しくなさそうに見えることがあります。
そのような選手を見かけると、大人たちはつい「悔しくないのか」とか「勝ちたいという気持ちが足りない」などと言ってしまいます。
しかし、子供の気持ちは見ただけではわかりません。
そう見える選手の中には、悔しいし、勝ちたいと思ってやっている選手は多くいます。

練習の取り組む姿勢も、それと同じです。
指導者には、選手が練習もやる気なさそうで、ダラダラした態度に見えてしまうことがあります。
実は、話を聞くとやる気に溢れていたり、ダラダラした態度をしている感覚がなかったりします。

本当にやる気がないのか、そう見えるだけなのか、コミュニケーションを取って整理しなければなりません。
やる気がなさそうに見えても、会話をしてみたらやる気があると知ることができます。
やる気はあるけどその練習メニューはやる気が出ないというのはよくあることです。
そのような選手なら、なぜそのメニューが必要なのかを理解できていればやる気を出してやるはずです。
上手くなりたいと思っている選手が、やる気を出して練習に取り組まないのは、提供している練習メニューが良くないということです。
選手に「やる気を出せ」と言う前に、指導者が変わる必要があります。

ダラダラしていると感じてしまうと「ちゃんとやれ」とか「真面目にやれ」などと言ってしまいます。
指導者の考える「ちゃんと」や「真面目に」が選手が考える「ちゃんと」や「真面目に」と共通の認識を持っているとは限りません。
選手は「真面目にやってるし、ちゃんとしてるよ」と思っているかもしれません。
指導者の「練習というものはこうあるべきだ」という考えが選手に伝わっていないかもしれません。
それをコミュニケーションを取ることで詰めていく必要があります。

 

選手の目指しているところや目指している選手像を共有することは大切なことです。
それに向かってどうアプローチしていくのかを考えていきます。
選手が目指す方向に指導しなければ、選手は話を聞きません。

指導者は、選手が上手くなるために言っているのか。
自分の言うことを聞かせたいだけなのか。
自分の言うことを聞かせたいだけの指導者は自分を変えることができません。
仮に選手が上手くなるためにと思って言っていても、それが選手が感じ取れなければ、やり方を考えなければなりません。
選手を変えるには、指導者自身が変わるしかないということです。
自分がどうすることで、選手はいい方向に行くのかを考えるということです。

ヘラヘラした態度で練習している選手に「ヘラヘラするな」などと怒ることで変わる選手はほとんどいないのではないかと思います。
言われた選手が「ヘラヘラしないで練習しなきゃ」と思って練習したところで、質の高い練習ができるようになるとは思えないからです。
そもそも、その練習の目的を理解し、自分が上手くなろうと思っていればヘラヘラするわけがありません。
だから、選手自身が上手くなろうと思えるようにアプローチしたり、練習の目的を選手に理解させることをしなければ選手のためにはならないと思います。

 

指導者と選手に信頼関係があることはとても重要なことです。
それを作るのに有効なのが、コミュニケーションです。
選手の話に耳を傾け、選手が目指すところにどうすれば近づけるのかを一緒に考えることで、さらに信頼関係が深まります。
そうすると、選手の本音が聞きだせるようになり、さらに質の高いやり取りができるようになります。
この選手には、こうコミュニケーションしようと考えることが選手を成長させる一歩になるのではないかと思います。

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