忍耐力を発揮しない。

忍耐力とは「辛いことや苦しみなどを耐え忍ぶ力。辛抱する力。」のことを言います。
時と場合によるとは思いますが、忍耐力を発揮しないことで上手くいくと思うことが多々あります。
そんな話をしたいと思います。

 

忍耐力が成長を阻害していると思う選手を何人も見てきました。
忍耐とは同じところでとどまることです。
例えば、寒さに耐える。暑さを我慢する。といったように苦しみなどを耐え忍ぶ力のことです。
現状を改善しようと前向きに行動することは忍耐ではなく努力と言います。

肉体的に限界を超えた我慢や忍耐は身体を傷つけ、酷くなれば故障に繋がります。
精神的に度量を越えたパワハラなどの我慢や忍耐は心がすり減り崩壊します。
酷くなれば引きこもりやうつ症状になることすらもあります。

このような過度の肉体的、精神的ストレスに忍耐力を発揮する必要はありません。
耐え忍ぶことを美徳だと勘違いし、理不尽なことや嫌なことに我慢し続けることは良いことだとは思いません。
指導者や大人が子供に対して、本人が嫌なものを無理矢理継続させようとしたところで、そこに集中力は生まれません。
集中して物事に取り組むことができなければ、期待しているほど、子供の力を伸ばすことはできないと思います。

たしかに、嫌なことを我慢しなくてはいけない場面はあるとは思いますが、ずっと我慢を続けていたら、人間の心と身体はすり減っていってしまいます。
それを防ぐためには、ただ我慢し続け、耐えるのではなくて、回避する方法を考えたり、現状から抜け出す努力をしていくことです。

僕が感じたトップ選手が持つ能力は、嫌なことや辛いことを我慢し続ける忍耐力ではなく、それをどうやれば成長につなげられるのかを考える力であり、自分の夢や目標に向かって努力する力です。
目標を実現するためのチャレンジする力と粘り強く継続していく力を持っています。
ここに忍耐力はありません。

本人に話を聞くと、努力をしているという感覚よりも、好きで楽しいから、他人からやり過ぎるなと言われても勝手に好きでやってしまうというように感じます。
心の底から好きなことは楽しいから続くのであって、完全に習慣化できているので、努力して続けているわけではありません。
表現は難しいですが、トップ選手は忍耐も努力もしていません。(している感覚はありません。)

 

指導者は忍耐力を育むことや物事を継続させようとしますが、僕はそれはそこまで重要だとは思っていません。
それよりも、競技を好きにさせることや、好奇心や創造力、そこにチャレンジする能力のほうが重要だと思っています。
そうすると結果的に辛いことやハードなトレーニングを継続できるようになっていきます。

上のレベルになればなるほど、現状を大きく変えることは簡単なことではありません。
だからこそ、どうすれば現状を変えることができるのかを試行錯誤しながら、何度も粘り強くチャレンジする必要があるはずです。
その場で耐え忍ぶ忍耐力ではなく、自分を成長させるために何度もチャレンジし続けられる力が必要です。

 

場面によっては忍耐力が必要ないと思うこともあります。
忍耐力がないが故に、自分ができないことがあることに耐えられないのでできるまで練習するということができます。
下手に忍耐力があると、できない自分に耐えられてしまうので忍耐力が成長を阻害してしまいます。

僕は、忍耐することがとにかくできません。
嫌なことに耐えることが苦痛です。
小さな頃から、勝負に負けることに我慢ならなかったので、負けないようにいつも考えていました。
負けることに耐えられないので練習を繰り返していました。

嫌なことが目の前にあり続けていたり、何度も起こっていたら、忍耐力を使わないことが物事を良い方向に持っていけると思います。
嫌なことを我慢するのではなくそれを回避するために行動することが重要です。

何かを成し遂げるのに必要なのは忍耐力ではなく努力です。
努力を続けることです。

努力をすれば成長できるという成功体験を多く経験することができれば、成長するために、努力することができるようになってきます。
これを続けて、努力することを習慣化できれば、努力ではなく習慣になります。
習慣化されれば頑張る必要もなくなり、自然と練習ができます。

 

なかなか、わかりにくい表現になってしまいましたが、仮に、忍耐力が必要だというのなら、自分の目標に向かう過程に忍耐があるのだと思います。
忍耐力をつけるのではなく、学びの過程に忍耐があるということです。
物事を耐え忍ぶ力よりも、現状を切り開く力を身につけてほしいと思います。

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