フォームの重要性。

野球では、打つのも、投げるのも、走るのも、守るのも、とにかくフォームが重要です。
これは野球だけでなくすべての競技に言えることだと思います。
パフォーマンスを発揮するにはパフォーマンスが発揮できるフォームでプレーすることが重要です。
そんなフォームの話です。

 

野球の投球でフォームが重要なのは、始球式を見れば分かりやすいと思います。
「おっ」と驚くようなボールを投げる人はそれなりのフォームをしています。
逆に、とんでもない方向に投げてしまう人やボールがキャッチャーまで届かない人はフォームに問題があるということは野球経験者ならわかると思います。

スポーツの技術の向上はフォームの向上でもあると言えます。
逆に言えば、フォームが変わらなければスポーツの技術もなかなか向上しないということです。

 

しかし、「正しいフォームを教えてくれ」と言われてもなかなか正しいフォームを示すことはできません。
なぜなら、「正しいフォーム」とは、何をもって正しいと言っているのかがわからないからです。
人の身体はそれぞれ違います。
体格も違えば、骨格も柔軟性も筋力も持久力も耐久力も回復力も違います。
野球の投手の投球フォームでは、肩や肘を痛めないフォームが正しいのか、速い球を投げられるフォームが正しいのか、バッターを抑えることができるフォームが正しいのかわからないからです。
正しいフォームとは、選手や目的によって変わってくるということです。
極端な例えを出すと、ウサイン・ボルトの走るフォームが正しいから同じフォームを身につけろとフルマラソンの選手に言いますかということです。

大きな力を生み出すのに適切なフォーム。
素早く動くのに適切なフォーム。
素早く回転するのに適切なフォーム。
長時間反復できるのに適切なフォーム。
すべて違います。

選手それぞれが、どのような選手を目指し、どのようなパフォーマンスをしたいのかを考えた上で、その選手の身体にあった理想的なフォームを追求することが重要です。

野球の投手で言えば、関節に掛かる負担を極力少なくできるか。
「ボール」に対してどれだけ大きなエネルギーを伝えることができるか。
同じ動きをどれだけ再現性高く繰り返すことができるか。
いかにバッターにタイミングを合わせにくくできるか。
などを考え、理想とするフォームをイメージしていきます。
そしてそのイメージしたフォームを身につけるために練習します。
いかに試合で理想的なフォームを繰り返せるかが勝敗を左右します。
そのために普段から理想のフォームを徹底して作り、いざという時にそのフォームで投げられるようにする必要があります。

 

フォームによって、怪我のリスクを減らすことができたり、疲れにくくなったり、リラックスできたりと楽にプレーすることができます。
無駄を省くことでパフォーマンスを上げることもできます。
見た目も、しなやかで綺麗でカッコよくもなります。

練習の効率を高めることにもなります。
フォームが悪ければ、いくら練習を重ねたところでその効果はなかなか得ることができません。
フォームが悪いと刺激が入ってほしい筋肉に刺激が入らず、筋肉も成長していきません。
走るフォームが良ければ、走れば走るほど筋肉は発達していきますが、走るフォームが悪ければ発達してほしい筋肉に刺激が入らずに筋肉が発達していかないということです。
フォームと体力は密接な関係にあり、トップアスリートは、フォームが悪いから体力がつかないのか、体力がないからフォームを身につけられないのかを考えなければなりませんが、トップアスリート以外の大半は、フォームが悪いから体力がつかないと考えるべきだと思います。
「ピッチャーの体力がないから投げ込みをさせる」となる前に、フォームを良くしなければならないということです。
悪いフォームで投げ込みをすれば、悪いフォームを脳や身体が記憶していきます。
フォームを修正していくのには集中力が必要です。
今までの癖や動きのパターンをやらずに、違う動きをするのには集中力を高めなければできません。
その選手の集中力が続く範囲で練習を切り上げるべきです。
集中できない状態でフォームを変えることは難しいということです。

 

フォームを良くしていくことが、どの競技でも、とても重要なことです。
どうしたら理想的なフォームを身につけられるのかを考え、アプローチすることが、競技力を上げる一歩になると思います。