基礎・基本

僕は、野球の基本というのはとにかく重要だと思っています。
基本がしっかりできているからこそ、そこから応用して様々なことができるようになります。
基本があってこその応用なので早いうちに基本を身につけることは大切なことだと思っています。
そんな基本を身につけるための話をしたいと思います。

 

基本を身につけることは大切と言いましたが、だからといい、いきなり基本練習を繰り返して基本を身につけようとしてもなかなか上手くいきません。
なぜなら、基本を身につけるためには、基本を身につけるための基礎的な部分が必要だからです。
基礎的な部分とは、基礎体力であったり、基礎的な動きのことを言っています。
基礎体力は運動の基本になっていて、体力がないと運動はできません。極端に言えば、寝たきりの人が運動をしようと思ってもできません。
当然基本動作を身につけることも難しいです。

基礎的な動きは、しっかり立つことから始まり、そこから歩く、走る、跳ぶ、前後に移動する、横に移動する、などの動きがあります。
投げる、捕る、振る、なども動きの基礎的な部分です。
このような動きをスムーズに適切にできる身体操作の基礎がなければ基本動作を身につけることは難しいです。
基礎ができてこそ、難易度の高い動きへ変えたり、ひとつの動きから類似した動きや、多様な動きを獲得していくことになっていきます。

 

野球の基本と言われる動作の前に身体操作の基礎・基本があるということです。
この身体操作の基礎を身につけるには遊びの要素がとても適していて、外遊びの中で自然と覚えていくことができます。
夢中になって遊んだ経験が、知らぬ間に効率的なトレーニングになっていたということです。
外遊びのような経験が少ない選手にはトレーニングとして行う必要があります。
走る、跳ぶ、投げる、捕る、などいくつかの基礎的な動きが組合わさり身体操作の基礎となります。
その動きの基礎ができていないのに技術の基本を身につけることはなかなか難しいと思います。

例えば、守備の基本練習として腰を落としてボールを転がして捕るという練習をよく見ますが、この練習こそ、身体操作の基礎がなければ効果的ではありません。
「腰を落とせ」と言われたときにお尻を落とすような身体の使い方をする選手は、先ずは「腰を落とす」という基礎的な動作をできるようにしなければなりません。
両足を広げ、裏もも(ハムストリング)を上手く使って、股関節を折るような動きで腰を落とすことができなければ、形だけ低く構えられるようになり、逆に動けなくなり守備力が向上しないということが起こってしまいます。
このように守備の基本を身につけるには、身体操作の基礎ができているかが重要になります。
その基礎的な動作をできるようにすることが先決です。
(そもそも「腰を落とせ」と言う表現が選手がどう感じるかを知る必要があります。「腰を落とせ」と言われ、お尻を落とすような選手には別の言葉を選ぶべきです。)

 

野球が上手くなるためには、基本を身につける。
その基本を身につけるためには、身体操作の基礎を身につける。
そこから応用していくということが野球が上手くなることにつながると思います。

応用力をつけることも、とても重要ですが、応用力とは、基礎・基本がしっかりあった上で探究し新しいことにチャレンジすることでついていきます。
上手くいくこともいかないことも含め、「これはこうだった、次はこうしてみよう」とリフレクションし試行錯誤を繰り返した結果で伸びていく力です。
応用力は、基礎・基本を身につけた選手が自分自身でしか伸ばせないものだと思います。

例えば、投球動作を身につけたピッチャーがボールの握り方を変えるという応用をすることで、変化球を投げることができます。
基本となる投球フォームがなければ効果的な変化球を身につけることはなかなか難しいことだと思います。

プロ野球選手やメジャーリーガーの投球フォームやバットを振るフォームも人によってさまざまなスタイルがありますが、これも基本の応用のひとつの形と言うことができると思います。

 

基礎・基本が身についてるからこそ、高いパフォーマンスが出せます。
だからこそ基本というのを大切にしていくことが重要です。
その基礎を作るのが遊びなので、野球が上手くなりたければ、遊びを大切にするということでもあると思います。