ブルペンエース。

今まで、さまざまなカテゴリーの野球を見てきましたが、どこのチームにも、ブルペンエースと言われる選手がいます。
ブルペンエースとは、ブルペンでは、いいのに、試合ではいいピッチングができない選手のことを言います。

「ブルペンのボールを試合で投げられたら抑えられるのに」なんて言葉を耳にします。

どこのチームにも存在する「ブルペンエース」について、僕なりの考えを投稿したいと思います。

 

結論から言ってしまうと

ブルペンエース=技術不足

というのが、僕の考え方です。
実際は、ブルペンエースをほとんど見たことがありません。
ブルペンエースと言われる選手も、ブルペンと試合で同じようなピッチングをしています。

 

ブルペンと試合では当然、いろいろな違いがあります。

ブルペンには、審判がいないのでストライク、ボールが曖昧ですが、試合では審判がいて、ストライク、ボールが明確に決まるので、ストライクを投げなくてはなりません。

試合では、バッターがいるので、打たれないようにという意識が働きます。
野手や相手がいるので、自分のペースで投げることが難しくもなります。
ランナーが出れば、サインプレーやランナーを気にして投げることも求められます。

練習のマウンドは、毎回、同じところで練習することが多いので、気になることは、少ないと思いますが、試合では、マウンドの違いやプレートの違いに数球で対応しなくてはなりません。

試合では、投げる球種やコースが1球1球、変わることも考えられます。

そもそも、雰囲気が全く違います。

このように、ブルペンと試合では、違いがあるので、試合の方が、多くのスキルが必要になります。

しかし、今まで、多くのピッチャーを観察してきましたが、ブルペンも試合も同じようなピッチングをする選手が多いと感じています。
ブルペンエースと言われる選手の多くも、ブルペンも試合も同じようなピッチングをしています。

ブルペンエースと言われる選手のブルペンでの投球練習を観てみると、共通点が多くあります。

簡単に言ってしまえば、「いいボールを投げる選手権」をブルペンでしています。
いいボールを求めているので、ブルペンでストライクを投げる練習をしていません。

特に多いのが、力のあるボールはボール球でストライクゾーンには、シュート回転や抜け気味のボールしかこないという選手です。
ストライクゾーンにくるボールが、力のあるボールではなく、その選手の1番、力のあるボールは、ボールゾーンのボールであるということです。
ブルペンでは、カウントがないので、永遠にボール球を投げ続けられますが、試合では、そういうわけにはいきません。
そのような選手は、ストライクゾーンに、力のあるボールは投げられないので、試合では、ストライクを取ることに苦労するか、打たれてしまうかで「ブルペンのボールが投げられれば…」と言われます。
しかし、これは、ブルペン通りのボールを投げていると言えます。

ブルペンエースと言われる選手だけでなく、多くの選手がブルペンでのピッチングが、そのまま、試合で出ています。
ブルペンを観ていたら、そのピッチャーの悪い時のパターンや打たれるボールが想像できます。
試合で、調子の悪い時や疲れてきた時に、その選手の普段のブルペンでしている、投げミスのボールが、多くなるということです。
ブルペンの投げミスが、抜けるボールの選手は、試合でも抜けるボールが出ます。
ブルペンでシュート回転で甘く入ってくる選手は、試合で打たれるのはそのボールが多いということです。

このように、フォームなどのメカニック的な技術や身体操作技術が不足していることが原因になっていることが多いと感じます。

もうひとつ、多いのが、思考技術の不足が原因のケースです。
集中力を発揮する方向を変えるのに時間がかかる選手は、ブルペンでは、問題になりませんが、試合では問題になります。
例えば、ランナー1塁では1塁ランナーに集中し、投球の際には、集中をランナーから打者方向に変えなければなりません。
この切り替えの速さがないとランナーが出た時にパフォーマンスが落ちてしまうことが考えられます。

イメージを作る技術が低いと、ボールのラインをイメージできないので再現性が低く、確率よく理想とするボールを投げることができません。
人によって作るイメージに違いがあり、他人が作っているイメージを知ることはなかなかできませんが、イメージを作ることは、とても重要です。

これは思考技術の一部ですが、思考技術の高さにより、発揮されるパフォーマンスに大きな差が出ます。

 

ブルペンエースと言われる選手は、メカニック的な技術や思考技術といった、投球に必要な技術が不足しているということです。

ピッチャーは「いいボールを投げる選手権」をしているわけではなく、バッターをどうしたら打ち取ることができるのかを考えることが重要です。

不足している技術を探し、そこにアプローチできれば、試合で力を発揮できる選手に近づくのではないでしょうか。